北カフカス地方、ダゲスタン共和国の病院に勤める2人の女性医師が人身売買組織摘発の一環で逮捕された。この医師らの行っていた手口は、親を説き伏せ強制的に入院させた乳幼児を、隣国チェチェン共和国で暗躍する組織に引き渡すというものであった。
ダゲスタン西部、チェチェンとの国境近くにある都市ハサヴユルトの病院に勤務するこの医師らは、ダゲスタンで誘拐した幼児や新生児達をチェチェンで売買する、12人の構成要員から成る人身売買組織に所属していると見られている。ロシア内務省はこの事件について、子供を誘拐された両親はこの医師らから、子供が生存の可能性が極めて低い病気に罹っていると騙され強制的に入院させられていたと発表している。
今回の件に先駆け警察は10月末に、生まれたばかりの男の赤ちゃんを1万2400ユーロ(約130万円)で覆面捜査官に売買しようとした、62歳の女を逮捕している。女はこれ以前に、やはり覆面捜査官による偽の取引において1歳半の女児を約1万ユーロ(約106万円)で取引していたことが証拠となり、女医らと同じ組織で子供達の“販売”を担当することが既に判明していたと、『AlertNet』は報じている。
またこの女が逮捕されたのと同日に、同組織における子供の“調達係”である病院職員も捕まっている。これらの逮捕劇によって、子供達がハサヴユルトの病院から誘拐されたことが判明し、今回の女医らの逮捕へと繋がった。
被害に遭った子供の人数は現在公表されていないが、こうして入院させられた後に組織に引き渡された子供達は、ロシア人だけでなく外国人にも“販売”されていたと見られている。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)