スウェーデン北部、フィンランドとの国境から約75キロ離れた場所に位置する村テーレのガソリンスタンドに1人の男が現れた。一見平凡なこの男が対応に出たガソリンスタンドの店長に話したことは、「人を2人殺害した」という驚愕の内容であった。
スウェーデンのニュースサイト『The Local』によると、35歳のRobert Lundbäckさんが店長を務めるテーレのガソリンスタンドにその男が現れたのは、10月23日の午後6時頃であった。男は女性従業員に、店長に対応に出てもらうよう要請、それに応じたLundbäckさんに突然、自分はフィンランド北部の街ケミで2人を殺害してきたという内容を話し始めたのだ。
だが、殺人を犯したと話している割に態度が落ち着いたものであったため、Lundbäckさんは男が嘘をついているのか、それとも何かイタズラをしようとしているのかと疑っていたという。念のためLundbäckさんは警察にこっそり通報し、彼らが来るまでの間、男とコーヒーを飲みながら話を続けることを決意した。
警察が来るまでの約45分の間、男は殺害の様子について触れることはなかったが、それでも2人で実に色々なことを話したとLundbäckさんは後に語っている。会話の内容から、男は63歳のフィンランド人であり十分な教育を受けた建築士であることが分かった。また男は一見平凡な老人でありとても殺人犯には見えなかったが、かなり疲労困憊している様子であったそうだ。
警察がガソリンスタンドに到着すると、男は抵抗せず両手を頭の後ろに組み外へ出た。パトカーに乗る前にLundbäckさんにお礼を述べ、連行されていったという。その後、男はルレオ市の警察に収監され、取り調べを受けている。
男が殺害したという2人の遺体は、ガソリンスタンドでLundbäckさんと会話している時間とほぼ同時にケミで発見された。フィンランド警察はこの事件について、被害者達の死因は銃殺であると発表。殺害の原因はまだ不明であるが、被害者の1人である女性と男が以前婚姻関係にあったことなどから、彼がただ1人の容疑者であったと説明している。そのためフィンランドでも男に対する逮捕状が請求されているが、身柄がフィンランドに引き渡されるまでには数日を要することになると見られている。
事件を見聞することとなったLundbäckさんは、自分は長年ガソリンスタンドでの仕事に従事してきたが、こんなとんでもない出会いはこれまで存在しなかったと語る。また、殺人犯であるとはいえ、以前対応した脅迫的なクレーマーのような客と比べると、男の態度はそれを全く感じさせない静かで落ち着いたものであったとも話している。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)