中東発!Breaking News

writer : shiina

【中東発!Breaking News】サウジアラビアのIKEAのカタログから、女性モデルが姿を消した理由。

カラフルで個性的な商品デザイン、そして手の届く範囲の値段設定で日本のみならず世界中で人気を集めている、スウェーデンの大型家具販売店IKEA。そんなIKEAが発行する商品カタログの写真は全世界共通なのだが、サウジアラビア向けのみ、多くの女性モデルがカタログから姿を消すこととなってしまった。

1951年から発行されている同社の商品カタログの2013年版は、なんと世界43カ国で合計2億800万部に達している。これは数だけでいうと、世界一の発行部数を誇るアメリカの日刊紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』に次ぐものであるという。

だがサウジアラビアに出店するにあたりIKEAは、肌や髪の毛が隠されていない女性の写真公表を禁止するという、同国で定められているイスラムの戒律に従い、カタログ最新号に掲載されている女性モデルの写真を、レタッチによって消去するという対策を取ることとなった。IKEAには本来男性も女性も完全に平等な立場であるという理念があり、そうした規範も存在していると同社の広報担当者は話しているが、その理念も厳しい宗教の戒律に対しては、残念ながら太刀打ちできなかったのであろう。

スウェーデンの貿易相Ewa Björling氏は今回の件について、「女性の存在が実際の世界から姿を消したわけではない」としながらも、「このことはサウジアラビアの男性と女性が将来完全に平等になるまでに発生する、1つの悲しい実例である」と見解を述べている。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)