人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の作者・荒木飛呂彦さんが、テレビ番組『王様のブランチ』のインタビューを受けて作品について語った。彼は今年で52歳となるが、年齢を感じさせないその空気感は穏やかな中に「ジョジョ…」を生み出すパワーを感じる。荒木さんは“スタンド”や“名セリフ”について話してくれたが、作品にかける意外な思い入れも明かされることとなった。
六本木ヒルズで開催されている「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」には、ジョジョファンの芸能人も多数訪れてブログなどで感動した様子を報告している。今年で25周年を迎え累計で8000万部以上の発行部数となる漫画「ジョジョの奇妙な冒険」は、幅広い世代に愛されているのだ。
10月13日に放送された『王様のブランチ』では、その「ジョジョ展」を訪れて荒木飛呂彦さんにインタビューした内容が紹介された。25年にわたり「ジョジョ…」をどういう思いで描いてきたのか、彼は人気漫画の作者とは思えない自然体で分かりやすい口調で率直に答えてくれた。
「ジョジョの奇妙な冒険」に多用される“擬音語”は、作品の特徴のひとつだ。「ドドドドド」、「ゴゴゴゴゴ」という擬音語を用いたことについて荒木さんは「ホラー映画からきている」と明かす。ホラー映画の効果音を漫画で表現しようと、あの独特な擬音語が考え出されたのである。
作品の要ともいえる“スタンド”には、彼の意外な思いが込められていることも分かった。「超能力を画にしたかった。見えない超能力をどうしても描きたくて」とスタンドが生まれたのだ。さらに彼は「スタンドが傷つくと自分も傷つく。自然の木をきり倒すと災害が起きる。そんな考えを表現したかった」とスタンドに込める思いを語った。
そんな荒木さんのお気に入りのスタンドは「重ちーが操る“ハーヴェスト”」だという。お金やギフト券を拾ってくる能力を持つスタンドで「クーポン券とかなんか嬉しくなる。幸せ感がある」というのが好きな理由らしい。
意外だったのがジョジョの登場人物による“名セリフ”について、荒木さんが「すみません。セリフを書いたらすぐに忘れるんです」と明かしたことである。「“名セリフ集”とかも出ていますが?」とレポーターから確認されると、彼は「申し訳ないけど、天然なんですよ」というのだ。「『セリフをこう入れよう』とか考えてはいない。人物の行動や心を描きたいのでセリフまで気が回らない。ノリで書いているだけ」というのがその真相だ。「ノリでよくあれだけの言葉がでますね?」と問われるものの、「ホント、不思議ですよね」と答えていた。
“ジョジョ立ち”は登場人物が見せる独特なポージングだが、最近は流行語のようにこの言葉をよく耳にする。なんとそのジョジョ立ちにはモデルがいるそうだ。荒木さんは「魅惑のローマ」などの美術図鑑から彫刻のポーズを参考にしているという。
そうやって「ジョジョの奇妙な冒険」を描いてきた荒木飛呂彦さんは、「世代から世代に伝わる“思い”を描きたい。命はいつの日かなくなるが意思は伝わるということを伝えたい」と作品への思いを語った。25周年を迎えたこれからも「ジョジョ…」を通してその思いが伝わっていくことだろう。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)