今年に入って、番組収録中に芸人がケガをするケースが後を絶たない。今年2月にはずんのやすが腰椎骨折、9月にはスギちゃんが胸椎骨折、森三中・村上知子の肉離れやいとうあさこの負傷など事故が相次いて起きている。一説には、体を張る“若手芸人”たちの高齢化が原因とも言われている。このような状況に対し、ナインティナインの岡村隆史が「このままではバラエティが面白くなくなる」と危機感をあらわにした。
相次ぐ芸人の収録中にケガについて『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)でナインティナインの岡村隆史が苦言を呈した。
岡村は、非常に軽傷の場合でも“ブーム”にも似た報道のせいで、大きく取り上げられていることがあるという。いとうあさこは、「赤く腫れていた」程度であったが、スギちゃんと同じ収録中だったということで「いとうあさこ収録中に負傷」と取り上げられた。また、森三中・村上知子については、収録中のけがではなく、「本当は、移動中に転んだだけで、番組は関係ない」と言及した。
岡村が危惧するのは、これらの問題が実際の番組作りにも影響し始めていることにあるのだという。先日撮影された『めちゃ×2イケてるッ!』の“メチャ日本新記録”という企画では、運動するにあたり、ストレッチを念入りに1時間も行い、さらにその様子までしっかり撮影されたという。その後、氷水に入る時には、スノーボーダーが着用するプロテクターにテーピング、さらにはウェットスーツを着ることになった。これに対し岡村は「ちょっと待て」とスタッフに怒ったという。これでは、うまく動けないだけでなく「冷たい!」とリアクションも取れない。上から転がってくる偽物の丸太も、以前はぶつかっただけで身体が飛ばされるほど重いものであったが、今回用意されたのは「ふわりと止まってしまう」ほど軽いものだったという。これでは芸人がリアクションを取ることができない、というのが岡村が激怒した理由だ。
このような現状に対し、岡村は、コンプライアンス(法令遵守)ということを声高に言うようになってしまうとバラエティは面白くなくなると警鐘を鳴らす。今後は「(事故は)芸人の自己責任です」というテロップを入れても今まで通りの番組作りをしていきたいと語っていた。
“きまり”のない自由な発想から生まれる番組作りの中で“きまり”を作ってしまっては、リアル感に欠け、面白さが半減するというのが岡村の考えなのであろう。しかし、“コンプライアンス”と“笑いを取ること”は、必ず相反するものなのだろうか。確かに身体を張って笑いを取るというのはお笑い芸人の真骨頂であるかもしれないが、それで本当に身体を壊してしまっては元も子もない。今後、この両者のバランスがお笑い界の大きな課題となるのではないだろうか。
(TechinsightJapan編集部 佐々木直まる)