映画『鍵泥棒のメソッド』が公開されて、国内だけでなく海外でも話題となっている。主演の堺雅人と香川照之の演技が見どころだが、その中でも内田けんじ監督と香川は「銭湯でのシーン」に最もこだわったという。素っ裸の香川が宙に舞うあの場面がどうやって出来上がったのか、テレビ番組のインタビューで堺と香川が明かした。
9月15日から公開されている『鍵泥棒のメソッド』は、堺雅人が演じる貧乏役者が香川照之による伝説の殺し屋になりすますことから事件が始まる。ストーリーの展開からも、殺し屋・コンドウが銭湯で転んで記憶を失う場面は重要なのだ。
22日に放送された『王様のブランチ』では、堺雅人と香川照之に映画についてインタビューした内容を紹介した。その中で香川が「監督が一番こだわったのは銭湯の転倒シーンだ」と答えたのである。
映画のCMでも何度も流れた場面なので、ご存知の方もいるだろう。香川(殺し屋)が裸で銭湯に入ってくると石鹸を踏んでしまい、宙高く舞い上がる場面がある。あまりに高く跳ね上がるので、CGか特殊撮影かと思われるほどだ。ところが、あの場面は全て香川の実演なのである。「本気で飛び上がりましたよ!」とその時の意気込みを話す香川。「40代の中年なりの限界点に達したい」、そう思って演技に挑んだという。
撮影現場でそんな香川を見ていた堺雅人は「カッコよかったですよ。準備している場面も含めて!」と感心すると、「香川さんが気を落ち着けて『ウシッ、ウシッ!』と気合いを入れるんですよ」と現場を思い出した。
香川照之は前張りはしていただろうが、ほとんど全裸だったそうだ。本番前には「石鹸をつま先で踏むのか、カカトで踏むのか? どっちが滑りやすいか?」と裸の香川は内田監督と熱い意見を戦わせたこともあった。監督も「じゃあ、2パターン撮っておきましょう」とこだわり、香川は2つの場面で宙を舞ったのである。
内田監督がコメディアンの資質を見抜いたという広末涼子も婚活中の女性を好演しており、映画はここからおもしろくなっていくのだが、このこだわった銭湯シーンが作品全体の空気感を予告していると言えそうだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)