毒物であるメタノールが混入された密造酒の流通により、チェコ共和国で死者そして被害者が続出しているというニュースを先日お伝えしたが、チェコ警察は24日、その密造酒製造の首謀者と思われる男2人を逮捕したと発表した。
この事件による死者の数は更に増加しており、これまでに25人が死亡、また多数の被害者が病院に運ばれ治療を受けている。このためチェコではアルコール度数20パーセント以上のスピリッツ類の販売が当分禁止されたが、この事件はチェコ国内のみならず近隣諸国にも影響を及ぼしている。ドイツではチェコ製のスピリッツ類の販売が禁止され、またポーランドやスロバキアではチェコ同様スピリッツ類全般の販売が禁止されることとなった。
逮捕された2人の容疑者のうち1人はチェコ北東部の都市オストラヴァ出身の42歳の男であると、ヨーロッパの多数のメディアで報じられているが、もう1人の容疑者に関する詳しい情報はまだ伝えられていない。警察による取り調べの結果、2人はメタノールが人に害を及ぼすことを承知の上で密造酒を製造し流通させていたことが明らかとなっている。そのため2人は、後に行われる裁判で懲役12年から20年の判決を受けることになるであろうと見られている。
首謀者らが逮捕されたとはいえ、チェコでは未だに1万5千リットルもの密造酒が、偽物の有名メーカーのラベルが貼られた瓶に入り出回っているのだ。そのため警察関係者は、密造酒の流通システムなど明らかとなっていない部分が全て解決されてから、初めて事件は終結したことになるだろうと話す。
だが、もう一方の被害者とも言える正規のスピリッツ製造業者の代表者は、自分達は以前から密造酒の増加に気がついており、警察や役所にその危険性を訴えていたにもかかわらず彼らが調査に動こうとしなかったため、このような事件が発生してしまったと主張しており、当局の怠慢ぶりを強く非難している。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)