夏に付き物の怪談も、最近では稲川淳二を見かけるくらいであまりクローズアップされなくなった。そんな中で真昼間の『笑っていいとも!』で怪談を得意とする芸能人が怖さを競ってスタジオを震え上がらせた。
8月16日の『笑っていいとも!』で企画された芸能人による“恐怖実録怪談コンテスト”は確かに体感温度を下げてくれた。この日、登場したのは歌手でタレントの森公美子、占いタレントの島田秀平、そしてタレントの桜金造の3人だ。彼らが怪談を披露してレギュラー陣とゲストが怖さを評価したのである。
森公美子の怪談はアイドル歌手が昔、録音スタジオで体験したものだ。彼女は録音ブースにひとり立って、ヘッドフォンをつけて歌っていたところディレクター達から「ヘッドフォンを置いてすぐに入り口に向かって走れ!」と言われて逃げ出した。何事かとディレクターが震えて指差す方を見ると、彼女が歌っていた横にある大きなスピーカーの中から男がもがくように出てこようとしていたのだ。
一発目から身の毛もよだつ怪談を披露され、特別レギュラーの鈴木福くんは「怖くて足がしびれた」とかなり力が入っていたようだ。ゲストの成海璃子も「ホントにこわいっす」と恐怖のあまり思わず普段の口調で話していた。
二番手の島田秀平は「これまで聞いた中で一番怖いやつ」と若手芸人の体験談を話した。その芸人が仕事が終わって部屋に戻るといつも様子がおかしい。リモコンやカーテンなどが動いている気がするのだ。そこで彼は安心するために、ビデオカメラを設置して自分が外出している間を録画したのである。
仕事から戻り、ビデオを再生すると何事もなく淡々と部屋が映るだけ。ところが後半になるとドアが開いて白いワンピースを着た女性が包丁を持って部屋に入った。そしてその女性は押入れの中に隠れたのだ。やがてビデオには帰宅する芸人が録画ボタンを解除する姿が映って終わった。
結局その後、彼は押入れに女性が潜んでいることに気づき『ギャーッ!』と部屋から逃げ出したのだった。後日、マネージャーにビデオを見せると「ああ、この人、いつも握手会に来てますよ」という。彼のファンがストーカーとなり部屋に忍び込んでいたのだろう。
この島田秀平の話には一同が震え上がった。「これは怪談じゃないよね?」、「怪談より一番怖い話だ!」とみんな芸能人だけに他人事とは思えなかったのである。
最後の桜金造の話は自身の体験であり強烈だ。彼が夏休みのイベントで海へ行った時のこと。前日からホテルに泊まり桜金造の部屋から真夜中の海をマネージャーと2人で見ていた。すると暗くて見えないはずの海を白い人影が凄い速さで泳いでいるのだ。「なんだあれ?」と目で追っていると方向を変えてこちらへやってくるではないか。
「おいおいっ! こっちに来るの?」と怖くなったので彼はそのとなりのマネージャーの部屋に移った。やがて隣の部屋、つまり金造の部屋から“ドンドン、ドンドンッ”と壁を叩く音がするのだ。金造もマネージャーも怖かったが、なす術もなくビールを飲んで布団を被るとうつらうつらしてしまった。
ふと気づくとマネージャーがうなされていた。しかもよく見ると彼は宙に浮いていたのだ。金造は手を伸ばして彼を起こそうとしたが金縛りにあったように動けなかったという。そして彼もそのまま落ちてしまったのである。
朝が来て目覚めると、とにかく急いでイベント会場に行った。彼らは現地の関係者から「この海は遠浅なので海難事故はないが、以前に酒を飲んで夜中に泳いだ学生が行方不明になったことがある」と聞いた。そこで昨夜の出来事はその学生が泳いできたのではないかと思い当たったのだ。
怪談の怖さでは桜金造の話が一番かとも思われたが、ほとんどの出演者が島田秀平の怪談を評価して彼が優勝となった。実は霊体験よりもリアルな人間の起こす事件の方が怖いという現代を象徴するような結果となったのだ。
ところで、この島田秀平の怪談については放送直後からネットで「パクリではないか?」という声が出ている。“怖い話”としてはこれまでも何度か似たような話があったらしい。現実に起きるかもしれない内容だけに設定を変えて語られているのだろうか。いずれにしても、本当に怖いのは生きている人間、ということか。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)