AKB48が歌番組で生歌を披露する機会が続いた。これまでにテレビで歌った際には“口パク”ではないかと言われることがあるAKBだけに、はっきりと生歌と分かるパフォーマンスは新鮮でさえある。ネットでもそんな彼女達の“生歌”にさまざまな評価がみられる。
8月7日に放送された『火曜曲!』(TBS)ではゲストの小室哲哉の演奏をバックに、AKB48から秋元才加と宮澤佐江の2人がコラボして、篠原涼子のヒット曲「恋しさと せつなさと 心強さと」を熱唱した。“ツインタワー”と呼ばれるこのコンビの歌唱力が素晴らしく、ネット上でも「上手すぎる」と感心する声が飛び交ったのだ。
AKBの篠田麻里子もツイッターで「さやかの歌声… 本物かと思った」とつぶやいている。篠原涼子本人の歌声かと勘違いしそうだったというのだ。もちろん宮澤佐江もしっかり歌い上げており、ツインボーカルで歌ったことで篠原の原曲とは違った魅力を感じたほどだ。小室哲哉も「リハーサルよりも本番が最高の出来だった」と満足した表情で語っていた。
続けて小室哲哉とAKBの板野友美、大島優子、梅田彩佳、峯岸みなみ、横山由依が、鈴木あみの「BE TOGETHER」を披露した。前曲同様に小室哲哉の作品である。こちらも生歌でそつなく歌いこなしたものの、ネットでも話題が秋元と宮澤に集中したように“ツインタワー”の陰に隠れた感があった。
その翌日の8月8日に生放送で中継された『FNSうたの夏まつり』(フジテレビ)ではAKB48本体とその派生ユニットやソロにSKE48、公式のライバルとされる乃木坂46も登場した。彼女達は他の歌手とのコラボなどもあわせると番組中で最多となる楽曲数を生歌で披露したのだ。
AKBが関連した楽曲は次のような内容だった。「ギンガムチェック」、「Everyday, カチューシャ」(AKB48)、「会いたかった」(AKB48×SKE48)、「パレオはエメラルド」(SKE48)はグループの持ち歌でもあり安心して聞けた。「ヘビーローテーション」(コラボ:AKB48×ザ50回転ズ×浅倉大介)はロックバンドの音にあわせるのが苦労したのか、音程のズレもあったが何よりノリノリ感が優先されて良かったのではないか。
ユニットでは「西瓜BABY」(Not yet)や「ロマンス・プライバシー」(フレンチ・キス)という持ち歌は安心できたが、「年下の男の子」(コラボ:すたーふらわー×フレンチ・キス)、「想い出の九十九里浜」(コラボ:宇徳敬子×フレンチ・キス)や「おどるポンポコリン」(コラボ:B.B.クィーンズ×SKE48)では即席感があって物足りなかったが、これは本家を前に出すために仕方ない。
ソロでは「君は僕だ」(前田敦子)、「大人ジェリービーンズ」(渡辺麻友)、「それでも好きだよ」(指原莉乃)の持ち歌を披露。前田敦子とまゆゆ(渡辺麻友)は他の歌番組でもソロ曲は生歌の場合が多いようだ。なかでもまゆゆの歌は安定感があり、この日もしっかりと聞かせてくれた。指原莉乃はソロ曲を生歌(と分かる形)で披露した場面を観たことがなく、この日がテレビ初の生歌披露だったのだろうが、やはり緊張したのか声に張りが無かった。
ネットでも指原莉乃の生歌への評価は芳しくないようだ。いまではHKT48を(AKBグループの)先輩として引っ張っていく立場でもあり、彼女もこれから生歌を披露する機会を増やして力をつけていく時なのかも知れない。
ベテラン歌手とAKBメンバーによる貴重なコラボも実現した。「いい日旅立ち」(徳永英明×柏木由紀×谷村新司)、「真夜中のギター」(徳永英明×渡辺麻友×押尾コータロー×miwa)、「DISCOTHEQUE」(水樹奈々×渡辺麻友)、「世界中の誰よりきっと」(徳永英明×高橋みなみ)などで、まゆゆと水樹奈々のアニメボーカル色が出た対決が聴きものだった。歌が上手いと定評のある高橋みなみはイヤーモニターが外れてしまうハプニングがあり、歌に集中できなかったのは残念だ。
おそらくAKB48がテレビ番組でこれだけの生歌を披露したのは初めてではないだろうか。これまでもファンの多くから生歌を聞きたいという声が出ており、こうした姿勢はそれに応える意味でも大切だろう。ちなみに柏木由紀はブログ『ゆきりんぶろぐ』でこの日のことに触れており「今日の出演者の中で、最多出演曲数だったのです。ありがたや」と明かしている。秋元康からソロデビューが発表されているだけに彼女も今後、生歌を披露する機会が多くなりそうだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)