『夏らしい天気はたったの2週間しか続かず、その他は全て雨の降る寒い日である。』 かき入れ時である休暇シーズンの天気をこのように予報されてしまった、ベルギーのリゾート地であるクノック=ヘイストの市長が、天気を予報し報道した民間気象情報サービス会社と新聞社に対し、損害賠償を請求する構えであることが話題となっている。
事の発端は、今月初めにベルギーの民間気象情報サービス会社のMeteo Belgique社が発表した天気予報である。「クノック=ヘイストを含むベルギーの北海沿岸地域は、7月中は雨の降る寒い日が続き、終盤には雷雨が発生、さらに8月に入っても夏らしい天気の日は2週間ほどしかなく、その他は強風や降雨の日が続く」と予報したことだ。
そしてこの天気予報を、同じベルギーの新聞社であるHet Laatste Nieuws社が記事として掲載したのだが、これらの予報と記事に対し、クノック=ヘイストのレオポルド・リッペンス市長が激怒し、Meteo Belgique社とHet Laatste Nieuws社に対し損害賠償を請求するつもりであることを表明した。
クノック=ヘイストは海岸沿いのリゾート地として有名であるため、天気の良し悪しが観光客の増減に影響するのは避けられないことである。特に7月から8月にかけてヨーロッパは休暇のシーズンに突入するため、この時期に客足が遠のくことは、観光で成り立つ市の産業にダメージを与えることになりかねない。
リッペンス市長は損害賠償請求の理由について、この天気予報を目にした観光客がクノック=ヘイストへの滞在を取り止めることによる収入の減少を食い止め、市の産業を保護するためであると説明している。
だが、Meteo Belgique社もHet Laatste Nieuws社も妨害のために天気予報を報じたのではない。また観光客が減少する理由として天気は大きく影響するものの、それ以外の要因があるかもしれない。それでも訴訟を起こそうとするリッペンス市長の行動は余りに極端であり、彼の本当の目的は、騒ぎを利用してクノック=ヘイストをPRするためではないかという声も上がっている。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)