“世界の終わり”という一風変わったバンド名でデビューした4人組が「セカオワ」と呼ばれて人気だ。昨年“SEKAI NO OWARI”と表記を変えた彼らが今、改めて注目されている。3枚目のシングル『眠り姫』をリリースしたばかりのその「セカオワ」がラジオ番組に出演して近況を語った。
深瀬慧(ボーカル)がバンド名を考えた頃には、暮らしや活動がうまく行かない状況だったという。「自分にとって世界が終わったような生活を送っていた」ことから、バンド名に「終わりから始めてみよう」との思いを込めたのだ。
メンバー全員が幼なじみという彼らだが、始まりは偶然の再開によるものだった。やがてライブハウス「club EARTH」を自分たちで作り上げて活動拠点にすると、そこでの共同生活が始まったのである。6月6日に放送されたラジオ『坂本美雨のディアフレンズ』(TOKYO FM)にゲスト出演した彼らが、そんなバンドの日常を話してくれた。
ピアノの藤崎彩織は「若手のバンドの子はスタジオに入れないという状況があった」と当時を振り返ると、「じゃあ自分たちで作ろうということではじめた」とライブハウスの設立に至ったいきさつを話す。彼女は、ちょうどその頃に音楽活動をしていた深瀬慧と中島真一(ギター)から声をかけられたのだ。
その後2代目となるDJ LOVEが加わり、メンバー4人がそろって現在のバンド編成が完成した。当時作成したデモ盤が『sekai NO oWARi』だが、バンド名は“世界の終わり”とまだ漢字表記だった。
現在はライブハウスではなく別の家にハウスシェアして暮らすが、4人どころか「全部で9人が暮らしている」というのである。ライブハウスを作った時のスタッフなど仲間がみんな住んでいるそうだ。
同居している為に4人の活動もほぼ同じになる。「同じ家で普通に起きて、同じ車で仕事に行って、一緒にご飯を食べてから同じ車で同じ家に帰る」という日々を送っている。幼なじみということもあり、そうなると気心も知れてくるのだ。ほとんどの楽曲を手がける深瀬によると「テーマはなんとなく話すけど、だいたい考えていることは分かる」からと、他の3人と改めて打ち合わせることもないらしい。
そんな状況で深瀬が作る作品にはある法則がある。インディーズ時代の1stシングルで『天使と悪魔』を歌ったように、彼は「死を表現するには生を、晴れを伝えるには雨を表現する必要がある」と対極するものにこだわりを持つ。1stアルバム『EARTH』に収録されている“死の魔法”の続編としてメジャー1stシングル『INORI』の中の“不死鳥”があり、さらに3rdシングル“眠り姫”までが深瀬にとって3部作となるのだ。
新曲「眠り姫」のMVでは、彼らのファンだという女優の宮崎あおいが出演して話題になっている。宮崎が雑誌で“セカオワ”について語った記事を深瀬の父親が発見したことが縁で、彼女を武道館ライブに招待したことから交流が始まったという。
実は番組パーソナリティでミュージシャンの坂本美雨も彼らのことが気になっており、ライブにも足を運んでいるのだ。坂本は「光と観客が合わさる感じに遊園地を感じた」とライブの感激を表現していたが、手づくりのライブハウスからスタートした彼らだけに演出や盛り上げ方が分かっているのだろう。
“SEKAI NO OWARI”のそんなライブがこの夏に各地で楽しめる。“HALL TOUR 2012 『Entertainment』”が7月26日~10月10日まで全国25か所で開催される予定だ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)