親友の妻を殺害するため、その妻の名前を使い、SMプレイ愛好者が集まる掲示板で『ご主人様』を探した男が逮捕された。今月11日、この男に対する裁判がスイス北部の街ヴィンタートゥールの裁判所で行われた。
53歳のこの男は2010年に、12歳の娘がいるという27歳の女性に扮し「『自分』と『娘』を死に至るまで傷めつけ、更には串刺しにして焼いてくれる『ご主人様』を探している」という内容の書き込みを、SMプレイ愛好者が集まる掲示板に投稿した。
女性の年齢と娘の存在こそ架空であったものの、女性の名前は男の親友の妻の実名。さらに男は返信者に女性の実在の住所を教えた。39通もの返信の中から住所を教えられた者たちが、実際に女性宅に押し掛けるという騒ぎに発展した。しかし、この怪し過ぎる掲示板の中に潜入していた覆面捜査官によって男は逮捕、起訴された。
このような嫌がらせを起こした動機について男は、当時彼の親友とその妻との間に離婚を巡る争いが発生しており、親友を助けたかったためと供述している。この夫婦の間には2人の息子がおり、息子の親権を強く望む“親友”のため、その妻をSMプレイの延長線上で殺害することを思いついたのだという。
この男は、SM愛好者が集まる掲示板内で自らをサド侯爵(サディスムという言葉の由来となったフランスの貴族であり作家)の名前を使った『Marquis el Diablo』(悪魔公爵)を名乗り、もともと掲示板のなかでは知られた存在であった。
警察の取り調べに対し、男はこの行為を「冗談のつもりだった」と供述しているが、ヴィンタートゥールの裁判所で行われた裁判において、明らかに殺人の意図があったとして7年の実刑判決が言い渡されている。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)