EU発!Breaking News

writer : shiina

【EU発!Breaking News】心臓治療の薬に、人が抱く差別的考えを抑制する効果が確認される。(英)

不整脈や高血圧、心筋梗塞など心臓の治療に使用される薬『プロプラノロール』が、ヒトの脳内に発生する差別的感情を抑制する効果があることが、オックスフォード大学の研究者達による実験の結果明らかとなった。

今回解明されたプロプラノロールのメカニズムとは、人の差別的感情を司る脳内反応を抑制することができるというものである。つまり、プロプラノロールを摂取することで人は穏やかになり、異なる人やものに対し拒否反応を見せず寛容になることができるという。

この実験において研究者らは36人の白人被験者の半分にプロプラノロール、半分にプラセボ(偽薬)を摂取してもらい、その後彼らに白人と黒人の写真、そして「嬉しい」、「腹が立つ」、「楽しい」、「悲しい」といった感情を意味する言葉が書かれたカードを与え、カードの言葉のイメージがどちらの写真に当てはまるか並べてもらったところ、プラセボを摂取した被験者達に比べ、プロプラノロールを摂取していた被験者達は、差別的な反応をほとんど示さないという結果となった。

この結果から研究者らは、プロプラノロールは世の中に存在する差別を解消する大きな手助けとなり得るものであると述べた。だが彼らは同時に、この薬はあくまで差別的感情を抑制する手助けとなるものであり、摂取するだけで考えが根本から改まるというものではなく、差別根絶に重要なのはやはり道徳教育などであるとも話している。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)