3月11日に東日本大震災が発生した時、東京ディズニーリゾートで来場者に対してキャストが取った対応が素晴らしいと後に話題となった。9か月以上を経た年末に特番で、キャスト達のその時の姿が公開されたのだ。スタジオの誰もが感動する中で久々に共演した羽鳥、西尾アナも涙していた。
夢の国、東京ディズニーランド(TDL)にも震災は襲ってきた。3月11日の来場者は約7万人だったという。地震の衝撃にパニックになりそうなお客達を落ち着かせようと従業員がとった行動について、12月30日に放送された『中居正広のザ・大年表5』で取り上げた。
当時、TDL内の噴水は地震の揺れで水が跳ね上がり外に大きく飛び散った。屋外のスピーカーが次々と倒れると、「めっちゃ地震!」と大声があがり「怖い!」と誰もが大変なことが起きたと悟ったのだ。
そのままでは恐らくパニックになったであろう、TDLのあちらこちらで「ただいま揺れておりますので、どうぞお座りになってお待ちください」、「どうか安全のためしゃがんでお待ちください」と冷静に呼びかけながら回る男女の姿があった。
彼、彼女達はキャストと呼ばれるTDLの従業員だ。そのひとり、勤続2年の男性キャストはインタビューに応じ、当時の心境を話した。「自分も動揺したが、ゲストの方を第一に考えてお声がけしました」と、彼は自らの恐怖に打ち勝ってお客の為に行動したという。
声かけだけではない。キャスト達はショップのぬいぐるみを山ほど抱えると、お客に配り「頭を守ってしゃがんでください」と促し、お土産用のお菓子も配りつくしていたのである。商品棚はガラガラになったが、空腹がまぎれることで少しでも不安を和らげる為の判断だった。
さらには、3月の気候の中で長時間座り込み寒さに震えるお客にキャストは毛布、ブルーシート、ダンボール、ゴミ袋など寒さをしのげそうな物を持ち出して配ったのである。本来、これらは夢の国のイメージを損なわないように目に触れさせることが無い物なのだ。
驚いたのは、女性キャストが「ゲストに安心してもらいたかったので、仲間達と今一番出来る最善のことをやりました」と語ったことだ。ほとんどがアルバイトであるキャストが上司の指示によるものではなく、自発的にこれらを決断し行動したのである。
ディズニーリゾート関係者は「年間180回、2日に1回の割合で防災訓練を行っている」と話すが、その努力が基礎にあるとはいえキャスト達の行動の的確さはその範囲を超えていたと言えそうだ。
お客が撮影したと思われる震災時のこうしたキャストの姿が紹介されると、スタジオでは誰もが感動の表情で見入っていた。この日、24時間テレビ以来の共演となった元日テレ『ズームイン!!SUPER』の2人、羽鳥慎一アナと西尾由佳理アナも同様で、羽鳥アナはこぼれる涙を何度も手でぬぐっていたほどだ。
東京ディズニーリゾートではこうしたキャストの活躍だけでなく、パレードを行っていたディズニーキャラクターがパレード中断後もお客達に手を振り続けて不安をやわらげたという。
東日本大震災が起きた2011年を終えて、彼、彼女達の行動を今一度振り返り今後の非常時での参考とすることは大切だろう。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)