11月21日に亡くなった立川談志さん(享年75)が生前に歌手の和田アキ子に語ったというエピソードを、彼女がテレビ番組で紹介した。今はもう談志さんの口から聞くことができない“彼独特なセンス観”が語られた貴重な内容となった。
喉頭がんのため亡くなった落語家、立川談志さんは落語以外でも風刺の効いた毒舌で一般や業界人にもファンが多かった。
ビートたけしや爆笑問題の太田光も談志さんを敬愛していたことで知られるが、歌手の和田アキ子もよく酒の席に誘われて可愛がられたようだ。
11月27日に放送された『アッコにおまかせ!』では和田アキ子が以前、立川談志さんと共演したテレビ番組が紹介された。それは2001年に放送された『ZZZ・アッコとマチャミの新型テレビ』(福岡放送)で、談志さんがゲスト出演した時のものだった。
和田アキ子が談志さんが亡くなった時のコメントで「『体の大きな歌手か? ○○にいるからすぐおいで』と誘って頂くのが大好きだった」と思い出を語っていた。そんな酒の席でのエピソードのひとつである。かなり酔っ払った談志さんが「アッコの後ろからケツを抱いてね、腰を使ってさ…」と言うのだ。あの和田アキ子にそんな真似ができる人間が居たことだけでも驚きである。
だが、さすがに談志さんはそんな時でも目の付け所が違う。「アッコはそれを拒否するでもなく、同調するでもなく。その間を行くセンスが伊達じゃねえ」と和田アキ子の人物を評価したのだ。「いいえっ? そうですか!?」と嬉しそうにする和田アキ子に談志さんはさらに酒にまつわる話を聞かせた。
それは懐メロバーで飲んでいた時のことである。「俺がアソコ出して踊ってると…」と談志さんはやはり、酔っ払ってごきげんだった様子を話した。「たけしも一緒に出して踊っていた」とビートたけしもその場で一緒に盛り上がったという。
すると談志さんは「中村勘九郎(現勘三郎)も出せると思う。市川染五郎も事によったら出せるかもしれない」と、なんと歌舞伎役者がその裸踊りをできるかどうかを語り出したのである。さらに彼は「春風亭小朝は出せないだろうな。上岡龍太郎も出せないだろう」と続けたのだ。
和田アキ子が首をかしげていると、談志さんは「それがセンスなんだよね」と解いたのだ。ちなみに談志さんは最後に「(笑福亭)鶴瓶は言わなくても出すだろう」と付け加えていた。
立川談志さんには他にも独特な言動が多く、その人並みはずれた才能を今更ながら思い知らされる。同じ11月27日にテレビ『シューイチ』ではタレントの中山秀征が談志さんのエピソードを語っていた。
談志さんは「俺は掃除しないんだ」と話していたことがある。「ゴミっていうは集めると結局どこかに捨てることになるから」という考え方をする人だったと、中山は思い出していた。
立川談志さんが亡くなられてニュース番組や特番でこうした彼ならではのエピソードが紹介されるが、公私にわたり自分流を貫いた生き様は故赤塚不二夫さんを思い出す。どちらも不世出の才能だっただけに惜しまれるものだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)