25日、東京・原宿で新しい映像体験プロジェクト「KEEP WALKING THEATRE」の第一弾、ショートムービー「曇天吉日」の先行試写会が行われた。本作品の監督は山下敦弘が務めた。山下監督といえば、今年5月に公開され、妻夫木聡、松山ケンイチの豪華共演でも話題だった「マイ・バック・ページ」や、ロングランヒットとなった「リンダ リンダ リンダ」、第32回報知映画賞監督賞など数々の賞に輝いた「天然コケッコー」でも知られる。現在35歳という若さでありながら、コアなファンも少なくない。そんな山下監督の「曇天吉日」はどのような作品となったのだろうか。
この日、ゲスト出演した山下敦弘監督は次のように語った。「この“曇天吉日”は何気ないクリーニング屋の男が日常をどう生きていくかという話です。」山下監督が住む街の商店街に老夫婦が営むクリーニング店があり、アイロンがけなどの作業を見ているうちに、「これは絵になるな」と思ったことが映像化のきっかけだ。他人の服やシャツをきれいにするという一見何気ないクリーニングの姿に興味が湧き、「ドラマになる」と感じたという。主人公となるクリーニング屋の男・鎌田洋治役は、山下監督と今回で6作品目となる康すおん。山下監督は「役者や雰囲気を大切に作った」と作品への思いを述べた。
本作品のテーマは「KEEP WALKING(歩き続けていこう)」。実は、四角いボトルに赤ラベル・黒ラベルでおなじみのウイスキー「ジョニーウォーカー」の信念が「KEEP WALKING(歩み続ける)」なのだ。先行試写会の前には、特別来日した8代目のマスターブレンダーであるジム・ビバリッジ氏が、来場者にセミナーを行った。200カ国で親しまれる「ジョニーウォーカー」。なかでもマスターブレンダーはビバリッジ氏ひとりしかおらず、いわばブレンダーの最高峰。そのビバリッジ氏にして「毎日新しい驚きと発見がある」というのだからウイスキーの世界はやはり奥が深い。参加者たちは、「ウイスキーは五感で楽しむ」というビバリッジ氏のアドバイスを受けながら、「ジョニーウォーカー」の黒ラベルをストレートやロックでテイスティングした。また近年若者にも人気のハイボールもふるまわれた。
このショートムービーは「ジョニーウォーカー」のスペシャルサイト「KEEP WALKING THEATRE」(www.keepwalking.jp)で本日26日から視聴できる。作品の他にも、監督のインタビュー、メイキングなども楽しめるのも興味深いところだ。また、このプロジェクトには、山下監督の他にも「黄泉がえり」「どろろ」の映画監督・塩田明彦、「少年メリケンサック」のアニメーションディレクター・西見祥示郎、2008年カンヌ国際広告祭グランプリ受賞の映像ディレクター・児玉裕一、2007年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞の映画作家・河瀬直美、「ゆれる」の映画監督・西川美和という錚々たるクリエイターの参加が決まっている。皆、「KEEP WALKING(歩き続けていこう)」をテーマとした作品を制作し、随時スペシャルサイトで公開される予定だ。
山下監督曰く、「台詞などわかりやすいドラマにはしていません。一回と言わず、二回、三回と観てほしい。」とのこと。山下監督の「何気ない日常がキラキラしている」という言葉が印象的だったオリジナルショートムービー「曇天吉日」。“日常”という中で歩き続けるとはどういうことなのか。歩き続けることが難しいと感じている人にこそ観ていただきたい作品である。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)