人気番組「笑っていいとも!」に『男の娘 百花繚乱』が紹介されてステージでパフォーマンスを披露した。独特のキャラクターに観客も見入ったが、実は彼が歌った楽曲がネットで話題となっているのだ。
百花繚乱さんはインターネット動画共有サービスのニコニコ動画(ドワンゴ)で活動しており、ネットの世界では知られる存在だ。だが彼が出演した10月14日の「笑っていいとも!」ではレギュラー出演者や観覧客をはじめ、視聴者にも知る人は少なかったのではないだろうか。
コーナー企画『ニッポン ワ サイコー!』で『男の娘(おとこのこ)アイドル 百花繚乱』として黒い忍者のようなスーツに身を包んで登場した彼は、いくつもの特技を持っていた。外見は女の子でアニメ声優のような可愛い声で話すかと思えば男性の声でも話すのだ。彼はネットの「両声類修行中」コミュニティーに所属している“可愛らしい少女声を操る両声類の男性”なのである。
他にも百花繚乱さんはマジックやバク転も披露して共演者を驚かせたが、最後にマイクを手にして両声類の声を使い分けながら1フレーズだけ歌を披露した。番組はそこで時間切れとなったが、彼としては『百花繚乱』を十分にアピールできた内容だった。
ところが、彼がこの日歌った楽曲が直後からネット上で話題となったのだ。百花繚乱さんが歌ったのは『マトリョシカ』という楽曲で、ハチ(米津玄師)氏がボーカロイドと呼ばれる音楽ソフト「初音ミク」で作成したものである。
この件に関して、ボーカロイドで作成されたボカロ曲のファンから「マトリョシカはありえないくらいの名曲だから、ポリシーのない使われ方はしてほしくない」、「ハチさんが創ったマトリョシカを許可無く利用したのでは?」などの書き込みがあったのだ。
そうした声を受けて、作成者ハチ氏はツイッターでこの件について見解を示している。繊細な表現なので原文に近い形で紹介すると「僕としては許可があったかどうかはわりとどうでもいい。制作者としてはよくないんだろうけど。結果として面白ければそれで儲けもんだし、面白くなければ不快ですが、糾弾しようとも思いません」という内容だ。さらに氏はその後で「一般的には怒って然るべきと思います。僕はわりと大雑把なので。この対応が模範回答だとは思わないで下さい」と追記している。
また、百花繚乱さんもツイッターで「ハチさんご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした!と同時に本当にありがとうございました!」と書いている。
番組では“新たなキャラクターが登場した”と注目していたが、舞台裏ではこのような事態が起きていたのだ。現代のメディア情報が多岐にわたることを実感させられる出来事だった。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)