ハンブルクにある病院で、今月11日に生まれるもその後間もなく亡くなった男の子の遺体が、病理解剖診断を受けることとなった。だが、この新生児の遺体が入った箱は病院の職員によって廊下にある棚の中に置きっぱなしにされ、さらにその後、何者かによって盗まれたことが明らかとなった。
後日、葬儀業者が病院に遺体を引き取りに来た際に遺体の入った箱が見あたらないことが判明し、警察による捜査の結果、何者かによって盗まれたのではないかという結論に達した。
しかしこれら一連の事態が発覚したのは、箱が置きっぱなしにされてから3日も経った14日のことだ。それも病院側が気づいたのではなく葬儀業者の訪問で初めて明らかになっている。さらに、病院職員は箱の中身は空だと思っており、どこに箱を置いたのかすっかり忘れていたというから開いた口が塞がらない。
現在この職員は解雇されており、病院側は新生児の遺体発見に繋がる情報を提供した人に対し5000ユーロ(約53万円)の報奨金を出すと発表している。
事件の舞台となった病院の廊下は地下にあり全長約500メートル、現在施工中の工事現場と繋がっているため、病院関係者、そして工事作業者の出入りは頻繁にあるが、それ以外の外部から来た患者や見舞客が迷い込むことはまずない場所である。廊下には合計23個の防犯カメラが設置されており、現在これらは警察によって調べられているが、データが膨大な量であるため、事件に繋がる情報入手に至るまでには時間がかかるだろうと見られている。
また警察は、箱を盗んだ犯人は恐らく、中身が何であるか知らずに盗んだのではないかと話しているが、亡くなった新生児の両親は、どういう形であれ最後は自分たちの手で子供を埋葬したいと話しているという。この両親にとって静かな日が再びやってくることを願ってやまない。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)