ドイツ西部の街シファーシュタットで開業する婦人科医が、何年もの間、自分が診察する患者を盗撮していたことが発覚した。親切で熱心なことで有名であったこの医師の卑劣な裏切り行為に、患者らの間に動揺が広がっている。
この婦人科医の盗撮行為が明らかとなったのは、彼の元で働く2人の診療助手が「何かがおかしい」と気づいたことがきっかけであった。彼女らは職を失うことを覚悟で警察に通報、そして捜査の結果、医師が小型カメラを診察用ベッドに密かに取りつけており、診察中の患者の様子を盗撮していたことが判明した。
その後の更なる調査で、医師のパソコンの中からは3万5000枚にも及ぶ盗撮写真のデータが発見された。そこに写されていた患者の数は3000人は下らないと見られており、この膨大な量と人数からも、医師の盗撮行為が長年に渡るものであったことが分かる。これらのデータがインターネット上に流出しているのではないかという懸念もあったが、幸いにもそういった様子は現在のところ確認されていない。
この医師はまだ逮捕には至っていないものの、既に医院は閉鎖されており、再開される予定もないとのことである。親切で熱心であったというこの医師は患者からの信頼も厚く、それだけに今回発覚した彼の卑劣な行為に動揺を隠せずにいる患者も少なくないという。
警察は更なる証拠収集のため、まだ明らかとなっていない患者からの情報提供を求めている。事件の内容が内容であるだけに、警察では担当のほとんどを女性警官にするなど配慮をしているが、これまで何の疑いもなくかかっていた医師が卑劣な盗撮犯であり、もしかしたら自分も盗撮されていたかもしれないと思うと、名乗り出ることに躊躇する人も多いのではないだろうか。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)