偽の求人広告を見て集まった男性らを奴隷のように酷使していた、ポーランド及びルーマニア出身の男4人と女1人がロンドンで逮捕された。男らに拘束されていた男性24人も同時に救助されたが、彼らのいた環境は、人間のものとは思えないひどいものであった。

逮捕された男らは、ホームレスのための炊き出し所などの福祉施設に、食事と住居も付いて日給80ポンド（約9700円）という好条件の求人募集を出し、応募してきたポーランドやルーマニア、ロシアなどの東欧諸国、そしてイギリス出身のホームレスやアルコール依存症の男性24人を、ロンドン北部のキャンプ場に集めていた。

だがキャンプ場に着いた男性らを待っていたのは、条件とはまったく異なる労働内容だった。彼らは携帯電話を取り上げられ、髪を刈られ、そして無報酬での仕事を強制されることとなった。しかも彼らに住居として与えられたのは、古いキャンピングカーや馬用トレーラー、犬小屋などといったものであり、1日に与えられる食事の量もごくわずか、更には水道やトイレもないというひどい状況であった。

人間に対するものとは思えないこうした状況下で、男性らは逃げると罰を与えると脅されていたため、逃げ出すことができずにいた。ある男性は、なんと15年もの間キャンプ場に留められていたというが、その後の捜査で現場からは、男性らを脅すために使われていたと見られる武器や麻薬などが発見されており、恐らくこれらを用いて男性らは身体的にも心理的にも逃げられない状況にされていたのだろうと見られている。

だが最近になって、男性の中の何人かが逃走に成功し、警察に通報したことから事件が発覚。11日、首謀者らは警察によって逮捕された。また解放された男性達は全員健康状態の悪化が確認されており、病院に搬送されている。
（TechinsightJapan編集部　椎名智深）