櫻井翔がキャスターを務めるニュース番組の取材で東北の被災地へ向かい、ボランティアを行う神戸の高校生グループに同行した。
東日本大震災の発生した3月11日から間もなく3か月となる。6月6日のテレビ「NEWS ZERO」で被災地宮城県東松島市に入った櫻井翔は呆然としていた。彼は「私の目の前にはいまだに一面の瓦礫がひろがっています」と地平線まで続くその光景を見つめて「かつては水田だったといいますが、その面影はどこにもありません」と寂しく語った。
そんな状態の被災地で、復興に向けて進もうとする人々を支援しようと動いているのが神戸市の兵庫県立舞子高校の生徒達なのだ。同校には阪神大震災後に設置された全国で唯一の環境防災科があり、生徒は交代で被災地へのボランティア活動を行っている。今回は1.5m以上が津波で水に浸かった被災者のご自宅を再び住めるようにするために、床下に溜まる泥を撤去する作業をお手伝いした。
男女8名程度に交じり櫻井翔も撤去作業を手伝った。床板ははがされているが骨組みがあるためにおよそ30cm程度の隙間から泥をかき出す作業となる。そのため手を使ってかきあげる方法が一番効率が良いのだ。床下には泥が厚さ10cmほど積もっており「ちょっと磯臭い感じがしますね」と櫻井が手で取りながらその様子を伝えた。引率の先生によると「津波がこの高さ(背丈ほど)まで入ってきて、(水が)引いていく時にすーっと下に水位がさがり泥だけが残った」という状況で、床下にこんなにも泥が溜まったというのだ。
この泥は異臭を放つだけでなく、重金属などの有害物質を含むので家を改修する前にすべて撤去する必要がある。この家のご主人は1人でそれを試みたが限界を感じていた。今回のボランティア活動には本当に助かると話した。泥を詰めた1袋20kg以上の袋が午前中だけで100袋近く運び出されたことからもその量の膨大さが分かる。とても個人の力でなせる作業ではないのだ。
高校生グループのリーダー久保くんによると、5日間共に活動するのでお互いにコンビネーションなども良くなってくると話していた。「凄いですよ!」とボランティアを終えて最終日、櫻井はその久保くんの言動に感動した。「僕達が帰った後にお家の人がまたやるでしょうから、ちょっとでもやりやすいように片付けておきたい」と彼は最後の最後まで作業後の清掃を行っていたのだ。そんな高校生のボランティアを受けてご主人は「助かるよ。遊び盛りの高校生だよ、こうやって助けに来てくれるから、凄いなと思う」と目を細めると「日本も捨てたものじゃない」と語った。櫻井がご主人から聞いたところでは「自分より大変な人がたくさんいるのでボランティアもお願いしにくい」と感じていたそうだ。そうした人々は多いのではと櫻井は言う。
ボランティア後の高校生達は廃校になった小学校の体育館でダンボールにしきられた中で寝泊りする。食事も自分達で作り、この日は鍋料理を櫻井翔も一緒に用意した。女子高生らは被災者から聞いた言葉を語り会いながら涙ぐんでいた。そんな体験も現地でしかできないことだろう。櫻井が久保くんにボランティアの感想を尋ねると、彼は「お礼を言われるとかの為ではないですけど、でも言われると本当にうれしくて『やってよかったな』と思う」と話した。また「被害からみたら僕達ができることってホントに小さなことだと思う。でも、こういう積み重ねがとても大きな力になると思う」と語った。
スタジオでは櫻井翔の報告を受けて、メインキャスターの村尾信尚が「こういった若者の取り組みを学校や社会がきちんと評価する仕組みが必要と思う」とコメントしていた。
一方、被災地関連の報道で「全国から集まった震災義援金は2500億円に上るが、そのうち被災者に届いているのは15%の約370億円しか届いてない」現状が伝えられた。これには被災地では市役所なども被災しているので手が足りないなどの原因がある。例えば建物の被害状況を市の職員が調査するには天井裏や床下も確認するなど手間がかかり、1件で1時間は必要となり膨大な件数をこなすには絶対的に人手が足りないのだ。
政界は首相の退陣や大連立などの話題で盛り上がっているが、震災から3か月経った現状をどれほど把握しているのだろうか。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)