5月21日に他界した俳優の長門裕之(享年77)。彼が妻の故・南田洋子を自宅で約4年間、介護していた様子はテレビでも度々放送され、深い感動を呼んだ。だが反対に、往年の大女優である南田の“認知症”の姿を世間に公表することを快く思っていなかった人がいたことも事実である。なぜ長門は介護している妻の本当の姿を、公にしたのか。
「ウソつき兄貴が、亡くなりました。」
長門の実弟・津川雅彦からのメールで知った、黒柳徹子。長門と津川の叔母にあたる、女優の故・沢村貞子を尊敬し親しかった黒柳は、その縁で彼らとも仲が良く長い付き合いであった。
南田と結婚する前から長門を知っていた黒柳は、彼の役者としての才能も人が良すぎる面も、相手を喜ばせようと話を大きくする癖も全部ひっくるめて彼の魅力だったと話す。
今では笑い話になるが長門と南田が就寝中に地震が起きた。「ねぇ、揺れているわ。」と彼女が夫を起こすと、「うん、帰る。今、帰るから。」と答えたという。どうやら寝ぼけて、浮気相手の家で寝ていると勘違いしたらしい。南田は小指を立てて「長門は、本当に(女が)好きなのよ。」とため息をついて黒柳に話したという。長門の借金の後始末や、仕事上のトラブルへの謝罪などは、彼女なりに手を尽くし一緒に解決してきた。しかし彼の女性問題だけは、なかなか無くならなかった。
5月23日放送の『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)に出演した黒柳は、「南田さんの認知症になった姿を、表に出さなくても良いじゃないかと、思われていた方も多いでしょう。」と話し出した。だが長門はなるべく外へ妻を連れ出したいが、病名を隠したままだと行く先々で「どうしたの? 奥さん。」などと聞かれ、その度に病状のことを説明しなければならない。世間に公表すれば周りも理解してくれて、温かく見守ってくれるから―との理由であると述べた。
黒柳は「南田さんは今頃、長門さんに“あなたここに来るのが早いわよ。”って言ってるわ。長門さんが十分に休息をとってから、また芝居をして欲しいと思っていたんじゃないかな。」と語った。
だが、長門は南田の元に旅立って行った。そこで彼は安心してゆっくり、休んでいるのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 みやび)