お笑いコンビ、ピースが4月5日放送の「徹子の部屋」に出演した。これまで多くの芸人が黒柳徹子からバッサリ斬られてきた同番組にピースの2人はどう対したのか。
今回の「徹子の部屋」出演を前に、ピースの綾部祐二は熟女好き芸人として黒柳徹子の手の甲にキスをするなど作戦を練っていた。
だが番組の冒頭で、綾部はいきなり黒柳から熟女好きと聞いていると先制されて「何歳くらいまでが熟女?」と問われたのだ。綾部は「何歳になろうとも女性らしさにこだわる方は魅力的」と黒柳も交際の対象だと答えた。
さらに又吉直樹の暴露で綾部が一般熟女から浅草のどじょうを食べに連れて行ってもらうことが分かると、黒柳は「さすが熟女は連れて行くところが違う」と興味を示してどじょう談義で盛り上がった。話は意外な進展を見せて黒柳が綾部をどじょうを食べに連れて行こうという話まで飛び出したのである。
このことでトークが勢いづいて、黒柳からは又吉が高校時代にサッカーで活躍した話や綾部がイス工場で働いていた話など次々と話題が飛び出して前半はあっという間に過ぎていった。
CMを挟んで後半は黒柳からピースの芸を見せて欲しいとの要望で、又吉のギャグを披露することになった。彼のギャグはネガティブでシュールなのが特徴で根強いファンもいるがその反面、理解しない人も少なくない。
彼がまず披露したギャグは、仁王立ちになり両腕を左右に振ってダダをこねながら「やだよやだよやだよ! 還暦迎えたくないよ!」と叫ぶネタだった。黒柳は「そうですか、いいと思いますよ」と苦笑いして「身内にそういう人がいたらどうしよう」と真面目に解説していた。
めげずに又吉が次に見せたのが、その場にとどまって駆け足をしながら「これで20円もらえんねん!」と落とすネタである。黒柳はそれを見て「ちょっと分からないですね」と首をかしげたのだ。綾部が細かくネタの内容を説明すると、彼女は「ごめんね分からなくて。もう1回お願いできる?」と催促したのである。
もう一度又吉がネタを見せると、黒柳は「そうですか」とだけ言ったのだ。これまで多くの芸人の心を折ってきた黒柳の反応こそが、この「そうですか」である。
それに対して綾部が「もう1回やってみたんですが『そうですか』とはどういうことでしょう?」と食い下がると彼女なりに理解しようと努力したようだ。
「大人でも子供の心を持っている人が20円もらえるっていう感じ?」と黒柳から追及されて又吉も「そうですね。そこまで深くは考えてないですけど」と弱り果てた。綾部が黒柳に「このネタは実在する人をやっているわけではない」と説明すると、彼女は「そうですか。ごめんなさいね。笑わなくて」とついに謝ってしまった。
今度は漫才を見せることになり、2人はM-1でやった「ストローとは吸うものだから吸いながら発音するべきだ」というネタを見せた。又吉が『たましい~』と吸って発音するところで黒柳が大笑いして「私が審査員だったら笑うと思う」と褒めたのだ。
そこで綾部が彼女に「審査員だったら何点入れてくれますか?」と尋ねると「60点くらい」との答えが。綾部はM-1では80点以上は入ると話して「少ないじゃないですか」とずっこけてみせた。
しかし、この漫才ネタで黒柳も2人に打ち解けた。吸いながら発音するネタを彼女もやってみせ「卵の黄身を吸います~」と言うのに苦戦して「難しいのね、負けたわ」と又吉に一目置く場面もあった。
その後の展開で綾部が「黒柳さんはどうやってその美しさを保たれてるのか?」と話を向けると「熟女殺し!」とあっさり黒柳から流されてしまった。しかしそれからはまたトークの流れが戻り、よしもとの男前ランキングで綾部が2位、又吉がブサイクランキングで10位と言う話や、又吉の自由律俳句など次々と話題が進んだのである。
ラスト1分ほどで又吉の両親が出会った馴れ初めを話し出した黒柳は、最後の数十秒で綾部にも同じ質問をして「今からですか? この時間で話す自信は無いです」と綾部を焦らせた。
この時綾部は『ラストまで気が抜けない』との先輩芸人からの忠告を思い出していたに違いない。
こうしてピースも『徹子の部屋芸人』の仲間入りを果たした。
彼らはトーク部分では十分盛り上がったのではないだろうか。一発ギャグでは無反応の黒柳に食い下がり「笑わなくてごめんなさい」という彼女の心のうちを知ることができた。また、漫才で「たましいを吸って発音する」などの奇想天外なネタがウケるらしいヒントもつかめたのは大きな成果だろう。この経験を次に控える『徹子の部屋芸人』へとつなげて欲しい。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)