上方落語の桂ざこばがテレビ番組で「被災地で落語をしろといわれてもできない」と落語家として辛い心境を語った。
桂ざこばが大阪で開いている寄席をテレビ「たかじんのそこまで言って委員会」が訪れて彼にインタビューを行った。桂ざこばは同番組のレギュラー出演者なので主旨を十分に理解していることもあり本音で語ったのだ。
桂ざこばは震災後に被災地のことを考えると「落語をするのにも、取材に応じて話すのにも気を遣って言葉を選ばざるを得ない」と話した。
そのため彼は「今は避難所で落語をしろといわれてもできない」という。現地に行ったとしても「できる空気とは思えない」と言ってから少し間をおいて「絶対にできない」と語気を強めたのだ。
彼が大阪で開く寄席に足を運んでくれる客の多くは、被災地とは離れているところから来ているはずだ。彼もそれ故になんとか落語ができるのだが、そんな状況でも「自粛したほうが良い」と気をつけていることがあるというのだ。
桂ざこばの十八番に「天災」という噺がある。彼は震災後はそのネタを自粛している。噺の内容は地震と直接関係は無いのだがやはり演じるのはためらうのである。
そのネタには「丁稚さんが水をかけたと思うからカッとくる。天が水をかけたと思えば、あきらめないと仕方ない」というくだりがあるのだ。この他にも内容を考えて用いないネタはいくつかあるそうだ。
落語界では「笑点」のメンバーが被災地への慰問を計画中と発表しているが、彼らは『大喜利』で親しまれるキャラクターもあり事情は違ってくる。桂ざこばも「自分が自粛しているだけのこと」と今回の話について説明しており「歌手のみなさんとかは被災地へ行って欲しい」と話している。
桂ざこばの考えを聞いた司会のやしきたかじんは「ミュージシャンの中には関東にとどまり、関西や九州へのツアーもキャンセルする者が少なくない」と音楽界の状況を明かし「もっと(地方へ)出て行って欲しい」と話した。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)