生放送のNHKの番組だから、打ち合わせは念入りに行っているだろう。それでも12月4日深夜放送の『着信御礼! ケータイ大喜利』(NHK総合)では、あるゲストの発言から司会の今田耕司の表情が凍り付き、言葉に詰まってしまう場面があった。
この番組はその名の通り、その場でお題が出題され視聴者がケータイで回答する、視聴者参加型のバラエティ番組である。
内容は沢山の応募の中から構成作家たちが選別し絞られた回答を、千原ジュニアがパソコンを見ながらさらにピックアップし何点かを紹介、その回答に板尾創路が採点するという流れである。
今田耕司は総合司会で番組を仕切り、特にお題が出されてから回答を選別している待ち時間を何組かのゲストとトークを展開し、時間を繋げるのも大事な役割であった。
ゲストはいつも一組は、お笑い芸人かトーク番組の常連のタレントが呼ばれている場合が多かった。しかしこの日はゲスト全員、NHK教育テレビ『天才てれびくんワイド』や『天才てれびくんMAX』の“てれび戦士”として人気のあった、現在はタレントの井出卓也と前田公輝で、あまりトーク番組には出演したことがなさそう感じである。
それは人気シリーズ「下積長子(したづみ ながこ)」のお題で、なかなか売れない演歌歌手の設定で今回は彼女が「もし売れたら、したいこと。」の答えを視聴者から募っている時だった。
まだまだ知名度の低いゲストの彼らに今田が、「売れたら、したいことがある?」と質問した。待ってましたとばかり井出が答え始めた。「シンガーソングライターと結婚して芸能界を引退して、小説を書いて賞をもらって2000万円の賞金を…。」明らかに場違いな内容で全くウケないどころか、スタジオの空気が変わったのがTV画面を通してでも感じた。今田の顔から表情が無くなり、「その話は、ちょっと…。ほら、スタッフさんが、(お題の答えを)ドンドン紹介しろって。慌ててるやないか。」と、チクリ。スタッフから、この話題に関して“話を広げないように”指示が出たのだろう。ジュニアも板尾も全くこの話に無反応で、お題の答えの紹介に入った。
ところが肝心の発言した井出卓也はその時、“ポカン”とした表情を浮かべていた。たぶん「面白い答え」と考えてきて話したら、ウケないどころかスタジオの様子が明らかに悪い。なにが悪かったか分からないが、自分の話が原因のようだ…と、その後は落ち込んだ様子で座っていた。
先ほどのお題の優秀な答えに選ばれたのは、「厚着をする」「新作DVDをレンタル期間を気にせず、借りる。」など、ちょっとした共感できる笑いである。“水嶋ヒロ”ネタは井出の仲間内では通じた笑いかもしれないが、これからは各々の番組に適したトークを展開できるようになって欲しい。
(TechinsightJapan編集部 みやび)