今年の芸能界で、話題をさらった人物といえばマツコ・デラックス、そして戦場カメラマンの渡部陽一氏だろう。ふたりはTVでの露出が増えるにしたがって、様々な噂が飛び交う。最近は渡部氏の“普通に喋れる”疑惑というのがある。彼の特徴である“ゆっくり”とした喋りのペースは、演技ではないのか?―という噂が流れているのだが。
11月12日の『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS系)では、渡部陽一氏の幼少時代から戦場カメラマンとして名をはせるまでを、(ほぼ“笑い”無しで)特集した。彼の両親の猛反対を押し切って戦場に飛び込んでいった経緯、何度も死にかけた恐ろしい体験や騙されて金品を奪われた事件などが、丁寧に紹介され改めて渡部氏の勇敢さや人間としての心の広さ、そして誠実さに感動させられた。
「あれっ? 普通に喋ってるよ。」司会の中居正広が、呟いた。
それは現地をレポートしている何年か前の、渡部氏のVTRである。緊張気味ではあるが、確かに今のようにゆっくりとした口調ではない。その時の様子を、本人が説明した。
このVTRは2003年12月イラクのフセイン元大統領がアメリカ軍によって拘束された時、日本人ジャーナリストとして最初に渡部氏が現地に入り取材に成功、生中継でフジテレビの報道番組に出演したものだ。
メディアの仕事は初めてだったが、歴史的大スクープということもあり正確に伝えなければと緊張していた。
そして、スタンバイしていた彼の耳に「キューですよ。」とイヤホンを通じて、言葉が流れてきた。「…。」無言の渡部氏。「キューですっ!」しかし、何も喋らずボーッと立ちつくしカメラを見つめ続ける。無理もない、初めてのTV生中継での仕事だった渡部氏は“キュー”が“話を始める合図”だとは、全く知らなかったのだ。
「話をしてください! 今、話してください。」切羽詰まった声に、状況が分かった彼は慌てて早口で喋り出したというのだ。そう、渡部氏が早口で喋る=普通の人と同じ早さになる―ということなのだ。彼が普通の人と同じ早さで話しているときは、緊張していたり慌てているときらしい。
渡部氏は29歳にして初めてできた恋人と、長い交際期間を経て昨年結婚。結婚式での二人の写真が紹介され、そこには満面の温かい笑顔で幸せそうな渡部氏が写っていた。それを見たとき、「どうか、いつも無事で奥さんと子供の元に(戦場から)帰って来ますように。」と願わずにはいられなかった。
(TechinsightJapan編集部 みやび)