タモリが携帯電話を持つようになったのはここ数年のことだと話していたが、芸能人でいまだに携帯電話を持たない男が怪談話で知られるタレントの稲川淳二である。彼が携帯電話を持たないのには彼なりの理由があるのだ。
9月3日放送の「ごきげんよう」に出演した稲川淳二は、そんな電話にまつわるエピソードを話した。
彼は携帯電話を持たないので、今も固定電話のみを使用している。ある日夜中に電話が鳴るので出てみると男友達からだった。
「今から行ってもいいか?」と言うので稲川は不思議に思いながらも了解した。そして電話を置いてから思い出したのだ。その男性は今、メキシコに行っているはずなのである。
だが、すでに玄関に誰かが来ていた。稲川がよく見てみるとそれはメキシコにいるはずの男性ではなく、彼がよく知っている演出家だった。
しかもその演出家の男性はすでに亡くなったはずなのである。稲川は彼と親しくしていたので恐れるより先に彼をこの世にひきとめようと考えたという。稲川は「まあ座れよ」と彼を落ち着かせてコーヒーを入れた。だが、少しするとその演出家は「もう帰る」と立ち上がったのだ。このまま彼を帰しては死の世界に戻ってしまうと思い稲川はひきとめたが無理だった。
彼の後を追って行き玄関を見るが人影は無い。ベランダから外を見ても誰も居なかったのだ。あきらめてその日はそのまま寝ることにした。
翌朝、目を覚ました稲川は「あの出来事は夢だったのか」とも思った。しかし、ふとテーブルの上を見るとコーヒーカップが2つ置いてあったのだ。
話は初めにもどるが、タモリが携帯電話を持ったのは周囲から不便だからと言われてしぶしぶ持ったということだ。稲川淳二もやはり周囲から持つように言われるのである。しかし、彼は今も携帯電話を持たない。それは夜にこのような電話がかかってくるから…ではないのだ。
実は稲川の最も苦い経験はひっきりなしにかかってくる友人や後輩からの電話なのである。他愛もない用件で夜中に酔っ払った勢いでかけてきたりする者が多く「暇だな~、稲川にでも電話してみるか」といったノリでかけてくるからたまらない。もし、固定電話でなく携帯電話にしたら今以上にかかって来るに違いないのだ。だから、彼は絶対に携帯電話を持たないと心に決めているのである。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)