最近バラエティ番組でよく見かけるのが、“戦場カメラマン”渡部陽一。低い声でゆっくりと話す独特の口調と、シリアスな話題も聞いている側を重苦しく感じさせない話術が印象的だ。彼が、なぜ積極的にテレビ番組に出演するのか。戦場カメラマンとしての、彼の信条とはどういうものなのか。
8月3日『DON!』(日本テレビ系)に出演した渡部陽一。カメラマンになったいきさつについて語った。
小学生の頃から家庭にあるカメラで家族や友達を撮るのは好きだったが、特別に写真の勉強はしていなかった渡部。
法学部の大学生時代、旅行者としてアフリカ・コンゴ民主共和国の狩猟民族へ会いに行ったとき、ルワンダの少年兵に襲われ、命からがら逃げ出した経験がある。(本人曰く、半殺しの目に遭ったらしい。)
少年が兵士として生きていかなければならない現実や、日常化している戦争の実態を帰国してから説明しても周りに理解されなかった。この経験から「戦争の現実を、少しでも伝えたい。」と思い、戦場カメラマンを目指すようになったのだ。
渡部がカメラマンとして力を入れているひとつが、“戦渦の子ども達”の撮影だ。武器を携え少年兵として生きている子ども達や、通学路が危険にさらされているのに学校に通い笑顔を見せる子ども達。彼は子どもが本当に好きで、愛情を持って撮影しているのが伝わる写真の数々である。
だが子ども達は、見ず知らずの人にカメラを向けられて直ぐに笑顔を見せてはくれない。どうやって、コミュニケーションをとるのか。渡部陽一は、まず「I am ブルース・リー。」と言って注意を引き、子ども達を集めるという。ブルース・リーは、外国の子ども達がよく知ってる東洋人だからだそうだ。しかし、日本人ではないし現在は亡くなっている人物なのによくバレないのものだ。
渡部陽一はテレビに出演するのも全て、戦場カメラマンとして活動するためだという。自分に関心を持ってもらい、撮影した写真を沢山の人に見てもらいたい。そして、平均して1年の半分は海外に滞在して仕事をするので、その活動費を稼ぐため。この日も『DON!』の前に『はなまるマーケット』(TBS系)と、生放送に立て続けに登場していた。しかし彼の口調は、生放送泣かせだった。あまりにも丁寧でゆっくり喋るので、予定時間内に収めるのに司会者は苦労していた。
(TechinsightJapan編集部 みやび)