女優の寺島しのぶが2004年に第27回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を手にした。2003年に彼女が主演した映画「赤目四十八瀧心中未遂」での高い評価も受賞の要因だったことは間違いない。実はこの映画に出演するのは意外なことがきっかけとなっていたのだ。
「赤目四十八瀧心中未遂」は、1998年に直木賞を受賞した車谷長吉の小説が原作となる。小説を書けず流れ者になった作家、生島与一(大西滝次郎)と彼に好意を持ち近づく女、綾(寺島しのぶ)が心中を思いつき赤目四十八瀧へと向かうというもので、寺島の体を張ったラブシーンが話題となった。
寺島はこの年に映画「ヴァイブレータ」にも主演したが「赤目…」の熱演が受賞に大きく関わったことは確かだ。
その寺島しのぶが8月5日に放送されたテレビ「5LDK」(フジ系)に出演した際に、この映画の主演に至った意外な経緯を明かした。
寺島しのぶは大学生時代には女優を目指しており、劇団に入るなどして活動をしていた。その頃に彼女は小説「赤目四十八瀧心中未遂」を読み感動したのである。寺島は本に挟んである読書感想を書くハガキに抑えきれぬ感動を書き綴ると「もし舞台化するときは私に主演させてください」という要望も付け加えたのだ。
やがて時は経ち、同小説の映画化の話が持ち上がった時に映画監督、荒戸源次郎が主演女優を探していた。それを原作者の車谷長吉に相談すると、彼は思い出したように「こんなハガキをよこした娘がいるんですが」と寺島の送った読書感想カードを見せたのだ。それがきっかけとなり、寺島しのぶの主演が決まったのである。
映画「赤目四十八瀧心中未遂」で寺島しのぶがラブシーンを演じる件では母親の富司純子が猛反対して「あなたが出るなら自殺する」とまで言ったという。だが、寺島しのぶにしてもこうした運命のようなきっかけでもらった主演のチャンスだ。「出られないなら私が自殺する」と覚悟を見せて母を諦めさせたのである。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)