「池袋ウエストゲートパーク」や「タイガー&ドラゴン」などのクドカン作品で好演してきた長瀬智也が、久々にクドカンドラマに帰ってくる。「宮藤さんの伝えたいことはすぐわかる」という長瀬と、今回のドラマを作る上で迷いなく長瀬を指名したというクドカン。そんな二人の相性の良さを、長瀬自身が語った。
TOKIOの長瀬智也が7月2日放送の「A-Studio」に登場した。司会の鶴瓶とは、2005年放送の宮藤官九郎(クドカン)のドラマ「タイガー&ドラゴン」で共演した仲である。7月9日から放送されるクドカンのドラマ「うぬぼれ刑事」で主演をつとめる長瀬。役者としての経験も長い長瀬には、演技についてのこだわりや秘訣があるのだろうか。
「脚本は、自分のところしか読まないやろ」と指摘した鶴瓶に「そうです」とあっさり長瀬は答えた。共演しただけあって鶴瓶は長瀬のことをよくわかっているようだ。「全体的なことは考えられない」という長瀬。そのかわり、目の前にあるワンシーン、ワンカットを面白くすることに集中するという。
「その意味を考えなくてもぴったり合った演技をする。なおかつ想像以上に素晴らしい」と、クドカンも長瀬を評価する。
役者というと作品の意味を考えて、演技論を展開しながら芝居をするイメージがあるが、長瀬にはそういうものは必要ないのだろう。天性の素質を、まさに「ガラスの仮面」の主人公・北島マヤのような、芝居に対する野性的な勘を持っているのだ。
そんな長瀬も宮藤のことを「宮藤さんの脚本を読むと、なにがやりたいか、なにを伝えたいかがすぐわかる」という。クドカンが監督で長瀬が主演した映画「真夜中の弥次さん喜多さん」の撮影のとき、大きな川をはさんでクドカンが長瀬に演技指導をする場面があったのだが、離れているために声が聞こえなくて難儀していた。そんなときに長瀬が「監督、マジですか、ギャグですか」と聞いたという。監督が「マジ!」と答えると、素晴らしい泣き演技をしたそうだ。そのときクドカンは「こいつには二つしかないんだ」と思ったそうだ。すなわち、マジかギャグかの二つ。それだけでピッタリ合った芝居ができる長瀬はすごい。
一方のクドカンもまた、すごいのだ。同じく「真夜中の弥次さん喜多さん」の撮影時であるが、長瀬がボロボロになって泣く場面で、周囲が気を遣って静かにしているのに、クドカンだけは「それ、いいよ」などと言って大笑いしていたという。だがそこは長瀬が泣くことで観客の笑いをとる場面だったので、監督が笑うことで気持ちがノッテきた、という長瀬。役者の演技を最大限に引き出すことができる、クドカンのすごいところである。
そんな相性の良い二人が久々に組んだドラマが、面白くないはずがない。「うぬぼれ刑事」には大いに期待だ。
(TechinsightJapan編集部 大藪春美)