6月23日(水)より、レコチョクで、いち早く着うたが独占先行配信スタートしている「サマーウルフ」。この「サマーウルフ」のジャケットとミュージックビデオには、雑誌やテレビで大活躍中のカリスマギャルモデルでタレントの小森純が登場している。なんとミュージックビデオでは初めて水着姿もガッツリ披露しているのだ。そしてこの「サマーウルフ」は、湘南サウンドの最新の姿を伝えるユニット「逗子三兄弟」のメジャーデビュー曲なのである。
「逗子三兄弟」のユニット名の由来は、その名のとおり逗子に生まれたリアルの三兄弟で結成されたことによる。メンバーは長男・優己 (ゆうき)/次男・大雅 (たいが)/三男・翔馬 (しょうま)である。実は小森純とは“神奈川県出身の三姉妹”という共通点がある。
2000年代のJ-POPが昔のようにリスナーの心をとらえなくなっているように思うのは記者だけであろうか。自分探しソング、傷なめあいポップ、感謝ラップなど、どこか沈滞した時代の空気の反映とはいえ、J-POPの黄金時代を知る者にとっては物足りない歌が量産されている。
しかし、J-POPには1960年代から半世紀にわたって続く王道サウンドがある。それが湘南サウンドである。古くはワイルドワンズから加山雄三、サザンオールスターズを経て、キマグレン、湘南乃風そして逗子三兄弟に至るまで、湘南サウンドは一種の特権的ブランドである。湘南地域に生まれ、湘南の海風を浴びて育った人間にしか表現できない世界が存在するのだ。
マリンスポーツ、ビーチリゾート、そして男と女がいる限り変わらない恋の物語。そんな世界がギュッと凝縮された逗子三兄弟のサウンド、まずは先行してリリースされているファーストアルバムやYouTubeのPV (http://www.youtube.com/watch?v=gqpEVHrUn3k)を視聴してみた。
80年代から90年代を過ごしてきた人間には、とても懐かしく響く伝統のサマーポップである。しかし、古くさいわけではない。湘南の空気を発散しながらも、ラップやHIP HOPを経過したビート感覚が新鮮だ。
元ドラマーだった父の影響もあって、幼少の頃から音楽に目覚めていた3人は、 毎年大ホールで行われていたピアノの発表会や学校学芸会など、ありとあらゆる場所で弾き語りを始めるなど才覚を見せ始めた。
それぞれがオリジナルな音楽活動を繰り広げる中、三兄弟が結集して、自分たちのサウンドを表現しだしたのは、2008年12月頃のこと。楽曲制作を着々と進め、2009年7月22日に1st Album「逗子3兄弟」でデビューした。
彼らのサウンドがオリジナルなのは、兄弟の生まれ年が1980年、1984年、1987年と微妙に離れているため、持ち込んだ音楽的エッセンスが微妙に異なることによるのだろう。
逗子三兄弟の音楽に余計な理屈や知性は不要だ。都会のビルの狭間で自分探しをしているようなイマドキのJ-POPにはそろそろ食傷気味の若手リスナーも、80年代/90年代サウンドをいつまでも愛するR35/R45世代リスナーも一緒になって彼らの表現する音楽の喜びを感じて欲しい。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)