NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』で国民的人気を得た俳優の渡辺謙はハリウッド映画『ラストサムライ』などでも好演して、今や“世界の渡辺謙”となった。そんな彼から街中で突然、声をかけられたら驚くのは当然だろう。歌手の前川清がまさにそれを経験したのだ。
前川清は3月に放送されたテレビ『いい旅・夢気分』にナビゲーターとしてタレントの西川きよしらと出演した。
前川がその撮影時の様子を6月にテレビ『ごきげんよう』で明かしてくれた。前川によると、彼は本来、歌手ということもあり旅番組などのロケには恥ずかしさをおぼえるという。彼は「あれはキャンペーンなどの為に、イヤイヤやるものなんですよ」と本音をぶちまけて周囲を笑わせたのである。そういう心境なので江の島でのロケも町の人々に気づかれないように“こっそり”としていたらしい。一方の西川きよしは本業がお笑い芸人なのでしゃべりはスムーズ、しかも議員仕込みのあいさつが堂に入っており見事なのだ。そんな西川の影に、前川は隠れようとしていたという。
するとロケ中の現場に1台の高級車が乗りつけて停まったのである。前川清が何事かと思い見ていると開いたドアから渡辺謙が降りて来たのだ。しかも彼はそのまま前川のところまでツカツカと歩いてくると「どもっ、お久しぶり!」と握手してきたのである。こっそりと隠れていた前川だが世界の渡辺謙の登場に嬉しくなり心の中で「みなさん、渡辺謙です。そして僕は前川清です。今、渡辺謙から握手を求められています」と叫んでいたのだった。
ところでこのエピソードを話している『ごきげんよう』には渡辺謙の息子、渡辺大も共演していたのだ。そこで前川もこの話を思い出したのだが、彼は渡辺大に対して「ふつう、ロケ中にそんなことしてきませんよ。お父さんは無我夢中になって周りが見えなくなる方でしょ?」と詰め寄った。
たしかにロケで撮影している最中に素人ならともかく、俳優が握手を求めてくる行為は空気が読めないといわれても仕方ないだろう。
渡辺謙はこの夏に公開予定の映画『インセプション Inception』(主演・レオナルド・ディカプリオ)に出演するのだが、息子の大もアメリカの撮影現場に連れて行ってもらったというのだ。NYのダウンタウンを2ブロック借り切って、ビルの2階くらいからスプリンクラーを備え付けて雨のシーンを撮影する。そんな桁外れな撮影現場を息子は見てしまったのだ。大によると映画のスタッフでも「今回の規模は桁が違う」と話していたらしい。ハリウッド映画のそんな環境で過ごしていると感覚も変わってくるのだろうか。渡辺謙がロケ中の前川にとった行為はハリウッド流の感情表現だったのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)