エンタがビタミン

writer : techinsight

【エンタがビタミン♪】「腐って出直すことも必要」。桃井かおりが“世界に飛び出した”ワケ。

2005年に自らオーディションを受け、映画「SAYURI」でハリウッドデビューを果たした桃井かおり。その後はロスに拠点を置いて、コンスタントに各国の作品に出演し続けている。桃井かおりは54歳にしてなぜ渡米の道を選んだのだろうか。そこには彼女の「腐って出直すことも必要」という思いがあった。そんな桃井かおりのボーダーレスな魅力に迫る。

6月23日放送の「爆!爆!爆笑問題」のゲストはあの大女優、桃井かおりである。いつもと同じ進行で進むはずがない。企画をたくさん持ちこんだスタッフに桃井は言った、「好きにさせて」と。桃井かおりと爆笑問題のトークだ。面白くならないわけがない。余計な企画などはいらない。そんなわけでフリートークとなったのであるが、期待通り、桃井かおりのカッコよさをたっぷり堪能できた30分間だった。

型破りで自由奔放なイメージの桃井かおりであるが、少女時代は意外に暗く「悩みめ(悩みがちという意味か)の暗いヤツ」だったという。化けるつもりで役者になって、それからは「こんな女がいたらおかしい、そういうのを演じ続けていたらそういう女になっていた」と語る。

「“よろしくされたくない”ヤツに、よろしくお願いしますなんて言えなかった」という彼女、確かに若いころの桃井かおりは無愛想で生意気、気まぐれで口が悪い、そんなイメージだった。

そんな彼女でも実力で正当な評価を受けることができたのは、時代が良かったという理由もあるのだろうか。映画の舞台挨拶で「別に…」と答えただけで干されてしまう今の時代の女優たちは、明るさや元気さ、感じのよさなど、好感度ばかりが求められる。みんな可愛いけれど、あまり印象に残らない。そんな時代では桃井かおりのような女優は育つまい。

日本で確固した地位を築いていた桃井だが、なぜ海外進出したのだろうか。それについて桃井は「オニオンスライスのように一瞬を新鮮なままに生きるより、らっきょうのように長続きしたいと思う役者が多いけれど、腐って出直すことも必要」と自らをネギ類にしてユニークな例えをした。つまり外国で、一人の外国人として出直したかった、と言う。その思いがかなって、今ではロスを拠点にして順調に各国の作品に出演し続ける桃井。ちなみに恋人もロス在住だ。今度は長生きをして、おじいさん役を演じて男優賞を取りたい、と言う。悩まないことが長生きの秘訣だと考えている。

若い頃は悩みがちだった彼女であるが、今では悩みは乗り越えようとせずに回避して生きる、というコツを覚えたそうだ。壁があったら壁のない道を選ぶ。壁を作ってしまうのは自分自身であるから、つねに前向きに、年をとることもプラスに考える。例えば年をとってオッパイがたれてきても、シャツの前を開けてもいやらしくならなくてカッコ良くなった、と考える。そしてそれらの思いを言葉に出すことで「言葉勝ちする」とも言う。

確かに桃井かおりには魅力的な発言が多く、桃井の語録が「桃井かおりかるた」として発売された程である。かるたには「30過ぎたら同い年」「忘れたい事は忘れない」「パンツの綺麗な女」など、過去に桃井が発言したインパクトのある言葉が連なっている。たとえば「パンツの綺麗な女」という言葉の意味は「パンツが綺麗なことは大切。化粧をとるとか明日の予定を考えるより、パンツを洗えよ今日中に」。桃井が言うと妙に説得力がある。

最新作では中国人女性を広東語で演じたのだが、少しずつ日本語を混ぜて日本人にしてしまったという桃井かおり。それこそが彼女だ。何語で話してもどこにいても、桃井かおりは桃井かおりなのである。だからといって個性を強調しすぎずに、存在感を放ちつつもその世界にきれいに溶け込むのだから不思議だ。そんな女優はそうはいまい。彼女の魅力はこれからもボーダーレスに、世界中に伝わるだろう。
(TechinsightJapan編集部 大藪春美)