ロックバンドBARBEE BOYSの杏子が忌野清志郎と楽曲を収録した時の思い出を語った。KING OF ROCKといわれた忌野清志郎が亡くなった昨年の5月2日から早くも1年が過ぎた。杏子はLIVEで歌いながらそんな清志郎のことを思い出し、叫んだのだった。
5月16日放送された「杏子のアンテナカフェ」(FM福岡)でのことだ。
リスナーからのリクエストは杏子の『MISS NANCY BOY』だった。
彼女はこの曲をかける前に、忌野清志郎との思い出を語りはじめた。
「MISS NANCY BOY」は彼女が1997年にリリースしたアルバム『TOKYO DEEP LONDON HIGH』に収録されたナンバーだ。
なんとバックコーラスには忌野清志郎が参加しているのだ。杏子はこの曲をスタジオで収録した時の感動を鮮明に覚えているという。
「この曲のバックコーラスのハモリは、超難しいの」
と彼女は説明し出した。
普通、ハーモニーのメロディーは2度、3度など音程を変えることで付けられている。しかし、それだけではおさまらない複雑なメロディーになることもある。その際はハーモニー部分も作曲してそれを覚えて歌うというのが一般的な方法なのだ。「MISS NANCY BOY」のハモリがそれだったのである。
さて、スタジオに入った清志郎はその事を聞くと
「ちょっと聞かせて」とメロディを3回聞くと「うん、わかった」とすんなり録音に入ったのだ。
すると、なんと一発でハモッてOKだったのである。
「うまっ!」
と杏子や他のミュージシャン、スタッフらは驚き、唖然とした。
KING OF ROCKの実力を目の当たりにした瞬間だ。
しかも、曲の最後のフェイク部分は清志郎の独壇場で、まるで彼の楽曲と勘違いする程だ。
杏子はあまりの感動に、OKが出ていたが清志郎に頼み込み、さらに1テイク歌ってもらったそうだ。
その忌野清志郎があの世へと旅立った後の、昨年12月のことだ。杏子はLIVEで『MISS NANCY BOY』を歌うことになった。彼との思い出が詰まった曲である。
杏子は間奏の時に「サンキュー清志郎さん!」と叫んだのだった。
天国から清志郎もハモリを入れていたことだろう。
このナンバー『MISS NANCY BOY』はシングルにはなっていない。しかし、このエピソードからも分かるように杏子の入れ込みようは相当なものだ。清志郎のバックコーラスに食われまいとする、彼女の気合が伝わる1曲である。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)