1月9日放送の「めちゃイケ紅白歌へた合戦」ではオードリー・若林、光浦靖子、スピードワゴン・小沢などが登場した。これまで歌へたで実力を見せた強豪ぞろいである。平尾正晃、清水ミチコなど本格派審査員をむかえて新年にふさわく盛大なものとなった。その内容は審査員のひとりである米良美一がショックのあまり震えてしまったほどなのである。
テレビ「めちゃイケ」の企画でも人気の「歌へた王者決定戦」の新春スペシャルが「めちゃ×2イケてるッ!歌へた紅白スペシャル」として開催された。今回は紅組5人対白組5人で紅白対決を行う。勝ったチームがお年玉1人20万円を『自腹で払う』という設定だ。本来の歌合戦では賞金をもらうのだが、今回は下手な歌を聞かるのだからお金を払うというわけだ。オードリー春日が「それは、おかしい!俺は金のことにはうるさいですよ!」と文句を言ったが受け入れられなかった。払われた100万円は視聴者にプレゼントされるということなので春日もあきらめるしかなかった。
歌合戦が開催されてすぐに大変な事態となった。
一回戦は過去に実績もある山口もえとオードリー若林の対戦だ。お互いに実力を認める二人は「そっちの方が絶対に下手だ!」と譲らない。
「出だしがうまくいけばOK」という山口はWhiteberryの「夏祭り」を歌ったが、出だしから音がつかめず見事なへた歌を聞かせた。
次のオードリー若林は「僕も、最初のセットがうまくいけばバッチリです」と訳のわからない理屈を展開してKAT-TUNの「RealFace」を直立不動で熱唱。ほとんど上下の無い音程に、後ろでエネルギッシュに踊るバックダンサーが空しかった。その歌の下手さは想像を超えるものだったのだ。審査員の批評は山口もえを差し置いて、若林に集中した。
審査員のmisonoは「むっちゃ下手やん!」と明るくひとこと。
野口五郎は「”つかみができれば大丈夫”とか言ってたけど、それ以前の問題」と酷評した。
そして、世界のカウンターテナー・米良美一が批評した時だ。
「もう、なんていうか」
「ホントは楽しまなければいけないんだけど」
「ショックで・・・」
と手で口を押さえた彼の肩はわずかに震えていた。
可笑しくて震えていたのではない。本当にショックで震えていたのだ。
ご存知のようにアニメ「もののけ姫」のテーマ曲で有名になった彼だが、カウンターテナーとして、韓国や欧州でも活躍している世界的な歌手なのである。その繊細な神経には若林の歌声は耐えられなかったようだ。しかし、ここで若林ショックを受けたことは米良にとって幸いだったかもしれない。この後には若林に匹敵する、スピードワゴン・小沢、光浦靖子らが登場して、最後には新たな強豪、ずん・飯尾も控えていたからである。若林で免疫ができた米良はそれらに耐えることができ、最後の総評では
「歌っていうのは、上手いとかじゃなくて、気持ち良く歌うことが一番だってわかった」
「ちょっと歌が上手いことを鼻にかけている自分を反省しました」
と余裕のコメントができたのだった。
確かに米良が言うようにこの「歌へた王者」でどれだけの音痴と呼ばれた人々が救われたことだろうか?そうした意味では素晴らしい番組である。
ちなみに、勝利を獲得したのは白組だった。逆転勝利の貢献者トリを務めたずん・飯尾は
「私なりに、頑張って歌ったんですけど、正直今月の20万円出費は羽をもがれる思いです」
と弱り果てていた。しかし、彼はこれで歌へた王者として知名度をあげたので今後オファーも増えるかもしれない。そこで20万円を取り戻せるといいが。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)