エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】芸人達の目にも涙。アメトーークらしくないプロレス感動秘話とは?

1月7日に放送された「アメトーークSP」の企画のひとつにプロレス好きの芸人たちのコーナーがあった。プロレスフリークで知られる、くりぃむしちゅー有田、ケンドーこばやし、神無月、勝俣州和などが登場した。今回ばかりはボケるのも忘れてプロレス談義に熱くなる芸人たちだった。そしてついに勝俣が紹介したビデオを見て全員が感動の涙を流すことになったのだ。

「アメトーークテレビ界に新春卍固めSP」では「家電芸人」「じゃない方芸人」など人気の”○○芸人”のコーナーが登場した。その中で最後に登場したのが「プロレス芸人」達だった。プロレスをネタにする長州小力や神無月。マニアックで知られるくりぃむしちゅー有田哲平らをはじめ、ケンドー小林、勝俣州和、バッファロー吾郎、博多大吉などが登場した。コーナーは各自が推薦する必殺技や名勝負シーンを紹介しながらトークして進行していった。全般にアントニオ猪木や前田日明、アンドレザ・ジャイアント、ダイナマイトキッド、ビッグ・バン・ベイダーなどお気に入りのレスラーをアピールすることに熱くなり、いつものギャグは影を潜めた。ますだおかだの岡田圭右がほとんどギャグを出せなかったほどにスタジオの空気は真剣だったのだ。

終盤で勝俣州和がプレゼンした
「俺達のゴールデンプロレス、ちょっと良いプロレス話!!」」
の内容はさらに芸人達を熱くした。

破壊王と異名をとった橋本真也が2000年に立ち上げたプロレス団体「ZERO-ONE」の今の活動の紹介だった。橋本真也は2005年に40歳の若さで惜しくも亡くなってしまったが、その意志を継ぐ大谷晋二郎らが「ZERO-ONE」を引っ張っている。勝俣はその大谷らがプロレス興行だけでなく地域の小学校などを訪問して子供達と触れ合う活動をしていることを紹介した。「これは、ほんとに真面目な。ちょっといい!僕らが好きなプロレスです」と勝俣が念を押してドキュメントビデオが始まった。

2009年11月栃木県那須郡にある馬頭西小学校で子どもたちに熱く語る男がいた。レスラー大谷晋二郎である。全校生徒76名は大教室に体操座りして彼の話を真剣に聞いていた。

「一生懸命に大好きなことを頑張っている人は、僕は絶対にイジメなんかしないと思う!」と語りかける大谷のテーマは全国の「イジメ撲滅」なのだ。

生徒達とスクワットをしたり、体を触らせたりして交流を深めた。彼の講演内容にも素直に共感した子供たちからはサイン攻めにあった。プロレスなど全く知らない子供たちにも大谷の熱意は伝わったのである。彼は給食を一緒に食べたり放課後の清掃なども一緒に手伝うなどしてしっかりと溶け込むのだ。講演して「はい、さよなら」では本当には伝わらないと考えているようだ。それだけではない、いつも彼は生徒の自宅に一泊させてもらう。テレビ番組「田舎に泊まろう」を個人的に行うようなものだ。この日は清掃時間に知り合った「陸くん」のお宅に泊めていただいた。

次の日は学校の校庭でプロレスの試合を開催した。彼はすでにヒーロー的な存在だ。強制でもないのに、全校生徒が観戦していた。メインイベントで登場した大谷に子ども達も大声援を送る。しかし、序盤、大谷は苦戦を強いられて防戦一方だった。でも「やられても、やられても立ち上がる」ことを大谷は見せてくれた。そんな姿に声も枯れるほどの応援が続く。見事逆転勝利した大谷は最後にリング上から子ども達にメッセージを贈った。息がまだ上がった状態で、汗まみれの大谷は語りかけた。

「小さな団体の僕達ですが。昨日も子供たちにいろいろ偉そうなこと言わせてもらいました」
「でも、はっきり言っときます。僕はそんな偉い人間じゃありません!!」
「ただ、僕らにはプロレスしかないから・・・」
「プロレスでみんなにメッセージを贈ることしかできないから!!」
「でも!そのたったひとつのプロレスを!俺ら大の大人は一生懸命頑張ってんだ!!」
「子供たちに気づいてもらいたい!お前らにも大好きなものがあるだろう?」
「野球でも、サッカーでも、歌でも何でもいい!!」
「お前ら大好きな物を一生懸命ガンバレ!!」
「一生懸命頑張った奴は、報われなきゃ嘘だ!!」

子どもだけではない、校庭に集まった全員が息を殺して彼のメッセージを受けとめた。彼が話し終わった時、一気に拍手が湧き起こったのだ。

試合終了後の大谷に番組のスタッフがインタビューした。
「スタジオにプロレス好きの芸人さん達が集まっているんですけど・・」
と聞くと大谷は本当に嬉しそうな顔をして芸人達にメッセージを送った。
「プロレスを本当に応援してくれて、プロレスの為に立ち上がってくれた芸人の皆様・・・」
「本当にありがとうございます。僕なんかが言うのはおこがましいかもしれないですがプロレスラーを代表して言わせてもらいます」
「絶対!プロレスを好きで良かった!!と必ず思ってもらえるように頑張ります!」

以上がドキュメントビデオの内容である。

スタジオでそれを見終わった芸人たちは感動の拍手と誰もが目に涙を溜めていた。特に長州小力にいたっては涙をボロボロ流して言葉にならない。司会の蛍原から
「あれ?小力さん?感動されましたか?」
と振られてもしばらく何も話せなかったほどだ。
宮迫がそれを見かねて
「本来ならこれ、アメトーークですよ?って言いたいところですが・・これは、感動しますね!」
とフォローしていた。

プロレス好きでなくとも、このビデオには共感するところが多いはずだ。実は、記者もこの記事を書きながらまたしても涙ぐんでしまった。お笑い番組とはいえ、アメトーークも必要とあらばこうした企画もいいものだ。次を期待したい。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)