米どころで知られる秋田県大潟村では今年に入って、おそらく歴史上はじめて見るであろう光景が繰り広げられている。
ノギャルと呼ばれる渋谷系ギャルたちが稲作をはじめたのだ。
テレビのバラエティ企画ではない。「元ギャル社長」の藤田志穂さんが取り組む真剣なプロジェクトなのである。
彼女らは自ら農業を行うのだが、ギャルだけにノギャルファッションで作業するのだという。
藤田志穂さん(24)は渋谷区でギャルにしてギャルを対象にした企業「シホ有限会社G-Revo」のギャル社長として有名だ。
同時にファッションモデル、音楽プロデューサー兼歌手としても活躍し、エイベックスからもデビューしている。
昨年、社長を退任した彼女が次に取り組んでいるのが「農業」なのである。
しかし、元ギャル社長だけにただの農業ではない、農業プロジェクト「ノギャル」をたちあげて、渋谷ギャルによる農業に挑戦中なのである。
それで今年の春以降、秋田県大潟村で稲作を行うために、同村に渋谷ギャルがちょくちょく訪れて歓声をあげながら農作業に精を出しているというわけだ。
彼女らは4月にトラクターを運転して田を耕し、5月には「ノギャル」30人による田植えを行った。
そして先日7月末にも成育状況の確認に訪れて、田んぼの周辺にハーブを植えたのだ。
すでに、6回現地入りしているギャルたちはいたって真剣でノギャルファッションで重労働をこなす。
ノギャルファッションとは、生足・短パン・カラー長靴・先の切れた軍手(長い爪を出すのがポイント)といういでたちだ。
彼女らの凄いのは農作業にも
「筋トレになる」「ダイエットになった」
などと笑顔を忘れずに取り組むところだ。
ある農家によると
「彼女たちは、自分で土や苗を持って帰って研究している」
とよくある「後は農家にお任せ」というスタンスではないことに感心していた。
ギャルたちのそんな姿に地元の女子高生らも
「憧れのモデルさんたちが農作業をするのは新鮮」
と次は一緒に収穫する意欲まで見せていた。
しかし、最も彼女らに注目するのが稲作農家の面々である。
このことで、若者が農業に関心をもち、後継者不足の解消に役立つことや、また、ノギャルの情報網により農業がもっと話題になる可能性にも期待しているようだ。
プロジェクト代表の藤田志穂さんはすでにジーンズのエドウィン社と提携して、
「イケてる農作業着」なるものを開発中だという。
盛り上がれば、農業を楽しもうとする若者が増える可能性も大きい。
自給率の低さ、農業の後継者問題などがあり、最近では企業も農業に目を向け出したが、日本の農業を救うのはギャルのような予想外の力によるのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)