6日間の再生回数が5600万回を超える大反響となった。スチュアートさんは当時、難治性の悪性腫瘍「中皮腫」を患っており、廊下を歩くエリザベスさんは複雑な表情を浮かべ、涙をグッとこらえている様子だった。
なお動画は18秒と短く、花嫁が入室する直前で終わっているが、エリザベスさんはその後、ベッドに横たわる父の手を取り優しくキス。それまでの父の温かいサポートに感謝し、心から愛していることを伝えたという。
スチュアートさんはかつて、米大手証券会社リーマン・ブラザーズ(2008年破綻)、英金融大手バークレイズで株式調査部の責任者として活躍。ウォール街の重役という顔を持つ一方で、家族思いの優しい男性だった。そしてこの式の2日後、56歳の若さで息を引き取った。
エリザベスさんは病院で式を挙げた理由について、「父は常に、私の“最大の支援者”だった。それで『自分の結婚式には絶対、父にそばにいて欲しい』という強い思いがあったの」と明かす。
実はエリザベスさんとデヴィンさんは以前、薬物依存に苦しみ、2人が知り合ったのは薬物のリハビリセンターだったという。そんな2人を受け入れ、支え続け、命を救ったのがエリザベスさんの両親で、2人はこの8年間、薬物に一切手を出していない。
エリザベスさんは「父は私に『看護学校に戻り、看護師の資格を取るように』と言ってやる気を起こさせてくれたの。それに『ガブリエルがいい人生を送れるように』といつも気を配っていたわ」と父との思い出を語り、このように続けた。
「そんな父を称える意味で、結婚式はとても特別で美しいものになったの。病院での挙式で失ったことは何もなく、むしろ家族の素晴らしい思い出をたくさん作ることができたわ。」
さらにエリザベスさんは父が亡くなる前日、デヴィンさんと一緒に最後の親孝行をしたようで、このように述べていた。
「父には娘が3人いるの。でも父はいつも、リンデという名字を継いでくれる息子を欲しがっていたわ。それで6月4日、父に私たち夫婦が“リンデ”と名乗れるように許可をもらったの。だってそうすることで、ガブリエルがリンデの名字を継ぐことができるから…。」
なおエリザベスさんのTikTokにはその後、「是非、結婚式の続編を投稿して欲しい」という声が相次ぎ、今月16日の時点で動画はパート4まで投稿されている。テックインサイト編集部からはエリザベスさんに、一家の末永い幸せを願うメッセージを届けており、視聴者からは次のような温かいコメントが寄せられていた。
「なんて美しい父への贈り物なのかしら。」
「私は腫瘍科に勤めて11年になるの。これまでに何度か、病院での結婚式に出席する機会に恵まれたわ。きっと廊下を歩くのはとてもつらかったでしょうね。あなたの幸せを祈っているわ。」
「あなたはとても美しい。きっとお父さんは幸せだったと思うわよ。」
「涙が溢れて止まらなかった。悲しい。でも同時にインスパイアされたよ。」
「グッと来た。私の父も素晴らしい人だったから。余命僅かな父のため、病院で挙式するなんて本当に素敵。」
「心と魂に響く話。愛と幸せに溢れた人生になりますように。」
ちなみに2020年には、イギリスに住む末期がんの男性が、亡くなる2日前に娘との対面を果たしていた。パートナーの女性が出産を2週間早めたことで、「娘に会いたい」という男性の最後の願いを叶えたのだった。
画像は『New York Post 「I canceled my wedding to get married at an NYC hospital so my dad could see me one last time before he died」(Michael Krasowitz)(The Linde Family)(Eileen Linde)』『Mirror 「Heartbreak as dad dies from cancer 48 hours after first cuddle with newborn daughter」(Image: BPM Media)、「Groom dies at the altar as his bride is walking down the aisle with their son」(Image: Submitted/Kilmarnock Standard)』『Metro 「Woman has baby through IVF so dad with terminal cancer can meet his grandchild」(Picture: Caters)』『WZTV 「Emotional Tennessee mother-son dance shared worldwide after mother passes away from ALS」(MNF Productions)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)