私立探偵の利用が「システムの不可欠な部分」であったと判断。ヘンリー王子の携帯電話が2003年末から2009年4月にかけて「ある程度の範囲」で盗聴され、MGNの特定の人々によって注意深く管理されていたと結論付けた。
そして、1995年から2004年まで『Daily Mirror』の編集長を務めたピアース・モーガンや他の幹部達が、この慣行を知っていたことを「疑う余地はない」と裁定した。
判事は、ヘンリー王子が違法に収集された情報を含む記事の公開により苦痛を与えられたことを認め、MGNに14万600ポンド(約2540万円)の損害賠償を支払うように命じた。
判決後、ヘンリー王子の弁護士デヴィッド・シャーボーン氏が高等裁判所の前に現れ、集まった記者達の前で王子の声明文を読み上げた。
王子は裁判の結果について「真実と責任が明らかになった素晴らしい日だ」と述べ、次のように続けた。
「この訴訟は、単なる盗聴に限ったものではありません。隠蔽と証拠隠滅に続く、違法かつ恐ろしい組織的な行為に関するものです。その衝撃的な規模は、これらの訴訟を通じてのみ明らかにすることができるのです。」
そして、ロンドン警視庁と英国検察庁を含む英国当局に対し「英国国民のために義務を果たし、同社と法を犯した者を告発するよう調査すること」を呼びかけた。
一方、MGNの広報担当者は「何年も前に起きた出来事から前進するために、必要な明確性を企業に与えた。今日の判決を歓迎する」と述べ、「歴史的な不正行為が行われた時に、我々は率直に謝罪し、全責任を負い、適切な補償を支払ってきた」と付け加えた。
なお今回、ファンコート判事は、ジャーナリストのオミッド・スコビー氏による主張を受け入れるとの判決も下した。スコビー氏は、当時『Daily Mirror』の編集長だったピアース・モーガンが、歌手カイリー・ミノーグに関する電話盗聴について知らされていたことに関する証拠を提出していた。
スコビー氏は、ヘンリー王子の伝記本『自由を求めて(原題:Finding Freedom)』や王室の暴露本『Endgame(原題)』の著者で、ヘンリー王子とメーガン妃夫妻の“チアリーダー”的存在として知られている。
ヘンリー王子と複数の著名人が提訴したMGNの盗聴疑惑をめぐる裁判は、今年5月10日にロンドンの高等裁判所で開始した。
6月6日にはヘンリー王子が英国に帰国し、証言台に立った。法廷では、王子が提出した55ページにわたる証人陳述書が公開されたが、その中には当時の編集長だったモーガンを激しく批判する記述が含まれていた。
王子は翌7日にも証言台に立ち、MGNの勅選弁護士アンドリュー・グリーン氏からの反対尋問に答えた。
同月30日には裁判の最終日を迎え、文書ではヘンリー王子側が勝利した場合、MGNに対して最大44万ポンド(約8000万円)の損害賠償金を要求する意向であると主張していた。
画像は『The Prince and Princess of Wales 2017年10月26日付Instagram「Farvel Denmark!」』『Piers Morgan 2023年9月19日付Instagram「BREAKING NEWS:」』『Omid Scobie 2023年6月5日付Instagram「Cali pick n mix」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)