地震の際にがれきの除去などを行う専門部隊に応援を求めなければならないほどだったという。1つ40キロもあるチーズを少しずつ移動させなければならなかったため、作業には約12時間も費やされた。救助犬の力を借りながら夜通しで懸命な救出作業が行われたが、翌朝になってジャコモさんの遺体が発見された。
ジャコモさんの友人で近隣に住むボルトロ・ギスロッティさん(Bortolo Ghislotti)は、「彼は当時、息子のティツィアーノ(Tiziano、50)と一緒にチーズを自動洗浄する機械の手入れを行っていました。機械は円形チーズを回転させて洗浄するので、チーズが少しでもずれるとすぐに警告音を出すのです。よくあることなので、2人は一緒に確認して調整を終えると、息子だけ保管庫の外に出ました。その後、ジャコモさんが機械を再始動させてしばらくすると、大量のチーズが落下し始めたのです」と事故直前の様子を語った。
ボルトロさんによると、今回のような事故はこの地方で前例がなく、2012年に隣接するエミリア=ロマーニャ州で発生したマグニチュード5.8の地震の時でさえ、多数のチーズが崩れ落ちたものの死者は出なかったという。
ジャコモさんは2006年からグラナ・パダーノの生産を行っており、24エーカー(東京ドーム約2個分)の土地に家畜小屋や保管庫、搾乳施設などを持つ大きな会社を経営していた。グラナ・パダーノはパルミジャーノ・レッジャーノに似たチーズで、手ごろな価格で販売されていることもあり、イタリアではどの家庭でも冷蔵庫に常備されている。今回の事故で多くのチーズや設備を失い、経済的損失は700万ユーロ(約11億円)にのぼる可能性が示唆されている。
遺されたジャコモさんの家族は現在、ジャコモさんが丹精込めて作ってきたチーズを可能な限り回収し、夏の暑さで腐敗してしまう前に空調設備の整った近隣企業の保管庫に移動させている。
ちなみに2021年1月には台湾で、仏像収集家の男性が重さ2トンの仏像の下敷きになり死亡した事故が注目を集めていた。
画像は『New York Post 2023年8月7日付「Italian farmer, 74, crushed to death by thousands of falling parmesan-style cheese wheels」(Giacomo Chiapparini / Facebook)(Grana Padano)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)