77歳のフランス人男性が、60年間会っていなかったポルトガル在住のいとこに会うため、スクーターで約6533キロを走行する旅に出た。いとこの古い住所だけを頼りにした10日間の長旅だったが、男性は必要最低限の準備で挑戦したという。
先月24日に『Nice-Matin』などが伝えたところによると、無謀とも思える10日間の旅を成し遂げたのはフランス南部ニースに住む77歳の男性、アンドレ・ソヴァジェさん(André Sauvaget)だ。アンドレさんはある朝、60年近く会っていなかったポルトガルに住むいとこを探すため、スクーターでの長旅にチャレンジすることにした。しかし目的地の唯一の手掛かりは、母親の書類の中から見つけたいとこの古い住所のみであった。
アンドレさんが出発したのはフランス南部プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏マンドリュー・ラ・ナプールで、いとこが住んでいるとみられるポルトガルのオディヴェーラスまでは往復約6533キロの道のりである。
そんなアンドレさんの旅のお供は、彼が「最強中の最強」と考えるホンダのスクーター「Forza(フォルツァ)350」とわずかな生活用品だけであった。鞄にはパジャマと必要最低限の洗面用具、そして彼の長旅を救うことになるレインコートを備えた。道中で何が起こるか分からない状況で十分な装備とは言い難いが、アンドレさんは「観光は全くしなかった。スーパーで食料を買い、ホテルで寝たが、その他には何も訪ねなかった」と旅を振り返った。
答えを求めてポルトガル人のいとこエンリケさん(Henrique)の近況を心待ちにしたアンドレさんは、旅に出た当時の心境を「60年間、いとこに会っていなかった。家族が少ない上、お互いに会おうとしてこなかった。私の子供たちのために再会したかったんです」としみじみと語った。
現在77歳のアンドレさんは結婚して53年になり、2人の娘と6人の孫、2人のひ孫がいる。そんな彼にとって自身の“ルーツ”は、