経済的にも体力的にも大変なことから世話役を引退し別々に暮らすようになった。張さんはそれまで暮らしていた2階の部屋を叔父と叔母に明け渡し、車椅子での移動が楽な1階に引っ越すと父の世話を自分1人でするようになったのだ。
「高齢の親戚にあれ以上負担をかけるのはできなかった。それは自分勝手なことだからね」と語る張さん。昨年にはお金を少しでも貯めようとSNSを開始、自分の病気や生活の様子を投稿すると、時々ボランティアがやってくるようになったという。また車椅子も寄付によるもので、張さんは政府から月に約12600円(700元)の補助金を受けながらなんとか暮らしているという。
張さんの朝は早く、5時に起きると6時には朝食をとる。服を着たり、靴を履いたり、掃除をする時は長い棒を使い、料理の時は身体を斜めにしたまま包丁を握る。また父に食事を食べさせる時はスプーンに1杯分をすくい、身体を拭く時は洗面器に水を汲んでタオルを絞って手渡しする。頭を刈るのもDIYで、ベッドに寝たままバリカンを入れる。ヘルパーを雇うお金がないため、全て自分で行うのだ。
父はそんな息子を見て時折涙を流すというが、張さんは「父を置き去りにすることはできない。父の世話は自分の責任。自分は決してあきらめないよ」と動じることはない。
張さんは最近、ある医師から「手術が可能なのではないか?」と病院に招待されて検査を受けており、「今の望みは手術を受けて立てるようになること。そうしたら父の世話もしっかりできるし、子供がいない叔父と叔母にも恩返しができる」と夢を膨らませる。また近所の野良猫が産んだ子猫を家族に迎えており、たくさんの元気をもらっているようだ。
ちなみに張さんには、「健康でも寝たきりの人の世話は大変なこと。この男性はすごいね」「インスパイアされる」「小さなことで文句を言っている自分が恥ずかしくなった」「彼から心の静けさ、忍耐、愛を感じる。リスペクトするよ」「涙が止まらない」「手術ができるといいね」「私も何かできることがあればサポートしたい」といった声があがっている。
画像は『South China Morning Post 2022年1月14日公開YouTube「Disabled son in China takes care of paralysed father」』のサムネイル、『MINNEWS 2022年1月15日付「A 36-year-old paralyzed man takes care of his 62-year-old paralyzed father. He cooks three meals a day and raises a stray cat.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)