両親と出かけた旅行先で、1匹の小さな野良犬に出会った少女。現地での予定を変更してまで少女は仔犬の救済と保護に奔走し、自分のもとへ引き取ることに成功した。少女の仔犬への思いと粘り強さが仔犬の命を救ったことを海外動物専門サイト『The Dodo』などが伝えている。
米ワシントン州シアトルに住むエリオット・シェリンさん(17歳)は、2017年12月に家族とジャマイカへのクルーズ旅行に出た。ジャマイカでの滞在中の一日は、父と一緒にビーチで乗馬を楽しむ予定を立てていた。
ところが初めてのジャマイカに到着したエリオットさんは、さまよい歩く野良犬の数が多いことに驚いた。その中でも特に目を引いたのが、成犬の後ろをついてヨロヨロと歩く仔犬の姿だった。汚れたオスの仔犬は肋骨が浮き出るほど痩せ細り、内側に曲がった前足でふらついていた。生後3か月ほどに見えたその仔犬は、他の犬がエリオットさんのもとに餌を求めて近寄ってくる姿とは対照的にただ怯え、エリオットさんたちを一切近付かせなかったという。エリオットさんは「どうしたらこの仔犬を救えるだろうか」という思いで仔犬のために食べ物を置いた後、すぐにクルーズ船に戻りリサーチし始めた。するとジャマイカで野良犬や飼育放棄された犬、野生動物などを救済・保護する団体「Animal House Jamaica(アニマルハウス・ジャマイカ)」のサイトを見つけ、出会った仔犬の救済を求めた。
「あの時、私は撮った仔犬の写真から目が離せず、頭の中は旅行のことよりもなんとかして仔犬を救って連れて帰りたいという気持ちでいっぱいでした。仔犬は怯えていたけれど、とても可愛かったんです。でも家族は『引き取るなんて無理、無理』と真剣に取り合ってくれませんでした。」
その後、エリオットさんはアニマルハウス・ジャマイカから連絡を受け「仔犬をどうにかして捕まえて、うちに連れて来れば保護することは可能だ。ただし動物病院での治療費やアメリカまで引き取る旅費はそちらで負担してもらいたい」と伝えられたことで、状況が一気に現実的となった。エリオットさんからその旨を聞いた両親は、娘の情熱に気圧されたのか「自分で仔犬の旅費を出すなら飼ってもいい」と伝えた。
エリオットさんは“キングストン”と名付けた仔犬のストーリーをネット上でシェアし募金を呼びかけると、同時に身内や友人らへも協力を呼び掛けた。さらにジャマイカでの滞在があと数日と迫っていたが、エリオットさんは牧場の従業員らに仔犬を捕まえて施設へと連れて行ってくれるように頼んだ。当初は乗り気でなかった従業員たちだったが、アメリカへ戻ってからもエリオットさんの3週間にわたる再三の依頼に根負けしたのか協力の姿勢を見せ、その後施設から「仔犬を保護した」との連絡をもらったエリオットさんは大喜びした。
栄養失調状態で、切り傷や擦り傷の他にも蚊の媒介によって感染するフィラリア症(犬糸状虫症)を患っていたキングストンは、今年2月まで施設で保護され、アメリカへ出国することができるまでの元気な状態になった。キングストンのために900ドル(約99,000円)の募金を集めたエリオットさんは便を予約し、残りのお金はこれまでキングストンを大切に保護してくれたアニマルハウス・ジャマイカに寄付している。
2月半ば、空港まで迎えに行ったエリオットさんは、