イタリア・ミラノの地下鉄M3線レプッブリカ (Repubblica)駅で13日午後3時頃、母親がほんの一瞬目を離した隙に2歳男児が線路に駆け寄り落下した。ひとつ間違えば大惨劇となっていたかもしれない状況の中、18歳男性の勇気あるかつ冷静な行動によって男児は無事救出された。
2歳児の動きは大人が想像する以上に激しく、そして予測ができないことが多い。目を離した隙に想像もしない場所に移動してしまうこともある。レプッブリカ駅で13日に発生した今回の事故も、まさにほんの一瞬の出来事であった。防犯カメラがとらえた映像では、ベンチに座る母親のそばで立っていた男児が突然、母親が他に視線を向けたわずかな時間に線路に向かって走り出し、そのままホームから落下する様子が確認できる。
あまりに突然の出来事に、母親をはじめホームにいた人々は駆け寄ったものの何もできずにいた。そんな中、一人の若い男性が背中のリュックサックを下して線路に降りると、落下した男児を抱き上げホームの母親に預け、さらに男児のおもちゃを拾うと彼自身もすぐにホームに上った。わずか10秒ほどの出来事であったが、ホームにいた人々にとってはもっと長く感じられたのではないだろうか。男児は後に救急車で搬送されたが、膝のかすり傷だけで済んだという。
この行動で一躍ヒーローとなったのは、ミラノ在住の学生ロレンツォ・ピアナッツァ(Lorenzo Pianazza)さん。彼は当時のことを「自分が危険な目に遭うという考えはなく、ただ男児を助けなければという本能が強く働いた」と日刊紙『Corriere della Sera』に明かしている。だが「電光掲示板を見て次の電車の到着が90秒後だと分かり、救出までに十分な時間があると確認しました」とも述べており、周囲の状況を冷静に判断したうえでの対処であったことがうかがえる。ちなみにこの出来事は、レプッブリカ駅駅員クラウディア・フローラ・カステラーノ(Claudia Flora Castellano)さんが防犯カメラで確認しており、男児が落下した時点ですぐに緊急停止ボタンを押したそうだ。
ロレンツォさんの勇気ある行動はメディアを通じてイタリア中に知れ渡り、