お腹の子が致命的な欠陥を抱えていることを知った妊婦は悲しみのどん底に突き落とされたものの、臓器提供のために妊娠を継続することを決意した。ところがその子は臓器提供するにはあまりにも小さく、両親の願いが叶えられることはなかった。英メディア『Metro』『Mirror』などが伝えている。
英イースト・ライディング・オブ・ヨークシャーのハルに暮らす3児の母ヘイリー・マーティンさん(30歳)は、4人目の子を妊娠していることを喜んだのも束の間、妊娠20週目にお腹の子は両方の腎形成不全腎形成不全で、未発達な肺形成のため予後が悪いポッター症候群を抱えており、出産中に死亡するか生まれても生存し続けることが不可能であることを医師から告げられた。ヘイリーさんと夫スコットさん(30歳)は中絶をすすめられたが、我が子の命を絶つことなど考えられず「たとえ生き延びることができなくても、臓器移植を必要とする赤ちゃんたちのために、我が子の臓器が提供できれば」とそのまま妊娠を継続することを決意した。
夫妻はその旨を医師に伝えると、臓器ドナーとなるには体重が5.5ポンド(約2490g)に達していなければならないことを聞かされた。エイヴァ=ジョイちゃんと名付けた娘のどの臓器が提供できるのかということは全く分からなかったが、「移植を必要としている赤ちゃんの命が娘の臓器を提供することで救われるのなら、娘の死は価値あることであり、娘の生きたいという意思の一部は臓器提供によって叶えることができる」といった思いが、辛い妊娠を継続することへの励みになっていたのだろう。
ところが今年1月2日の検診で、医師からエイヴァ=ジョイちゃんのサイズを聞かされた夫妻は、更なる悲しみに沈んだ。エイヴァ=ジョイちゃんは、臓器提供するには55gほど足りなかったのだ。しかもこれ以上待つと死産のリスクが高くなるため、ヘイリーさんが妊娠37週になる8日に帝王切開で出産することをすすめられたのである。「娘の臓器で他の子たちを救いたい」という夫妻の願いは、叶わぬところとなってしまった。
1月8日の午前10時1分、ハル・アンド・イースト・ヨークシャー・ウィメン・アンド・チルドレンズ病院でエイヴァ=ジョイちゃんは誕生した。ヘイリーさんは以前「たとえ1秒だけでも娘が小さな目を開けて私を見つめてくれたら、一呼吸だけでもしてくれたら、それは私にとってはかけがえのない瞬間であり、誰もその瞬間を私から奪うことはできない」と述べていたが、