フィンランドの首都ヘルシンキにある「ファッツェル・ベーカリーズ(Fazer Bakeries)」というパン屋が、コオロギ入りのパンを新しく登場させて話題を呼んでいる。乾燥させてサクサクに砕いたコオロギを小麦粉や種に混ぜたもので、購入した客の評価は決して悪くないようだ。『Reuters』『The Guardian』ほか多数のメディアが報じている。
現代人の食生活で欠けているものはミネラル。これからは地球規模で食糧難の時代がやってくる。そんな理由からヨーロッパでは昆虫を食するというアイデアがますます支持を得ているが、彼らの主食であるパンに昆虫を含めたのは同店が世界初だという。メリットはなんといっても普通のパンよりもタンパク質、脂肪酸、カルシウム、鉄分やビタミンB12が豊富に含まれていること。パン1ローフの値段は従来の商品より1.3~2倍となる3.99ユーロ(528円)とやや高いが、そこには約70匹ものコオロギが含まれているそうだ。
「良質のタンパク質を摂取して頂くこと、そして昆虫食に慣れていく最も簡単な方法を提案したいと思って、昨年の夏から作り始めました」と同ベーカリーの経営者であるJuhani Sibakovさん。2013年に国際連合食糧農業機関(FAO)が「昆虫は食料源となる」と公表し、昨年には少なくとも世界の20億人が1,900種以上の昆虫を食糧として摂取していることが発表された。すでにヨーロッパでは英国、オランダ、ベルギー、オーストリア、デンマークなどが食用の昆虫を養殖し、どんどん食生活の中に取り入れていくと宣言していたが、フィンランドも今月になってその参画を宣言。Sibakovさんは「この時を待ってからのデビューとなりました」と明かす。