稀な自律神経疾患と関節に深刻な支障をきたす病を抱えている19歳少女が、1匹の犬を優秀な介助犬に育て上げた。その犬は現在、ジェスチャーと言葉の指示に反応し100以上ものタスクをこなすことができるという。少女と犬の強い絆が垣間見えるニュースを『SWNS.com』『Manchester Evening News』『Lancashire Telegraph』などが伝えている。
英ランカシャー州ハスリングデンで母ニコラさんや弟2人と暮らすクロエ・フラーさん(19歳)は、立ったり座ったりする時の動作で心拍数が上昇する稀な自律神経疾患「体位性頻脈症候群(Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome、POTS)」に加え、コラーゲン線維形成の異常により深刻な関節の痛みや脆さを引き起こす遺伝子疾患「エーラス・ダンロス症候群」を患っている。
13歳の時に学校を辞めて以来ホームスクーリングで学んでいるクロエさんは、16歳になる頃には関節が激痛を伴い、倒れずに立ち上がったり歩くことが困難になり車椅子で生活することになった。
介助犬を望んだクロエさんは介助犬の訓練や障がい者の自立を助ける団体「Dog A.I.D. (Assistance In Disability)」を見つけ、以前にも飼っていたことがあったイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルを手に入れたい旨を伝えた。ところが同団体から基金不足でクロエさんの望む犬をすぐに見つけることができないと言われ、クロエさんは同団体の訓練士と連絡を取りながら自分でイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルを探し始めた。
そして14歳の時、ブリーダーを見つけたクロエさんは母犬から生まれていなかった仔犬の予約をし、テッドと名付けられたその仔犬が生後5か月目になった頃に会いに行った。ところがテッドは、クロエさんの車椅子に激しい怯えを示した。「これではこの犬を訓練するのは無理…」と諦めたクロエさんだったが、再度テッドの飼い主のもとを訪問した時にある変化が起こった。
クロエさんは飼い主宅のダイニングルームで倒れてしまった。するとテッドが駆け寄り、ずっとそばについていてくれたのだ。テッドの変化に飼い主も驚き、クロエさんも予想外のことに「これなら引き取って訓練しても大丈夫かも知れない」と思ったそうだ。「あの瞬間、私とテッドとの間に絆が生まれたのだと思います」と後にクロエさんは語っている。