不注意な運転により危うく2つの命が奪われていたかもしれないという事故が起こった。奇跡的に2歳男児の命は救われたが、自らを盾にしてその子救おうとしたナニーの女性が両手を潰されるという悲劇に見舞われてしまった。命を救われた男児の両親が寄付金サイトを設置し、「ヒーロー・ナニー」への寄付を呼び掛けている。『CBS Los Angeles』『KTLA』『PEOPLE.com』などが伝えた。
今年3月28日の午前10時頃、米ロサンゼルスのアットウォータービレッジに住むコートニー・デイヴィスさんとビル・ウォルコフさんの息子フォックス君(2歳)は、ナニーであるキャロライン・マウラーさんと自宅にほど近いところにある交差点にいた。
キャロラインさんは、フォックス君が生後4か月の頃からナニーとして面倒を見ており、コートニーさんとビルさんはキャロラインさんを雇った時に「宝くじを当てた」と思ったという。
「フォックスは私たちにとって初めての子ですから、私たちも親として全てが初めての経験となります。キャロラインは、時に私たちよりもフォックスへの接し方が上手で、彼女からは本当に多くのことを学びました。冗談で『キャロラインはメアリー・ポピンズね』と言っていたぐらいです。」
信頼して我が子を預けられる良いナニーに巡り合ったと思っていた夫妻は、3月28日に思わぬ出来事に遭遇した。実はフォックス君のナニーとして働いていたキャロラインさんだったが数か月前からは面倒を見ておらず、偶然にもこの日だけコートニーさんとビルさんから一日シッターを頼まれた。その偶然が悲劇と重なってしまったのだ。
フォックス君を乗せたバギーを押して交差点に来たキャロラインさんは、車がないことを確認してから道路を渡り始めた。その時、1台の車がSTOPサインを無視し自分たちのいる方向へ曲がってきた。キャロラインさんは「止まって!」と叫びつつも、車がフォックス君のバギーに衝突してしまうと思い、バギーをできるだけ押して少しでも遠ざけようと試みた。しかしキャロラインさんが車とバギーの間に挟まれた形になり、車のフロントバンパーがキャロラインさんの両手、両手首、両腕を押し潰したのだ。
衝突の勢いで地面に倒れ自分の両手が潰されているのを見たキャロラインさんは、フォックス君が事故にショックを受け「ナニー・キャロライン、大好きだよ!」と叫ぶ声を聞きながらも、バギーに乗ったままのフォックス君のストラップを外すことも抱きしめてあげることもできずに心が折れ、涙した。
通行人が通報したことで救急車が到着し、事故を知ったコートニーさんとビルさんも激しいショックを受けた。しかし後に、救急隊員の1人から「キャロラインさんがフォックス君の命を救ったんですよ」と言われ、自分の息子が奇跡的に車に轢かれず軽い擦り傷と痣のみで済んだのは、キャロラインのおかげだと改めて実感した。