南アフリカ政府が苦学生を援助する「南アフリカ奨学金制度(National Student Financial Aid Scheme、以下NSFAS)」の2017年度予算は、総額約150億ランド(約1270億円)である。今年6月、ある女子大生が手違いにより1400万ランド(約1億2000万円)もの奨学金を手にした。しかし彼女はこれを報告することなく約2か月間、パーティ三昧の日々を送っていたことが発覚し物議を醸している。『News24』など複数のメディアが伝えた。
とんでもない大金を受け取ったのは、東ケープ州イーストロンドンにあるウォルター・シスル大学の2年生シボンギレ・マニ(27歳)である。6月1日、本来ならば月に1400ランド(約1万1700円)入金されるはずの口座に約1億2000万円ものお金が振り込まれていることに気付いた。
各学生は「学生カード」を使ってお金が振り込まれた個人口座から書籍や食事を購入する仕組みになっているが、マニの生活はこの日から一変する。彼女が散財したのは一日9万円超にもなり、1本6000円のウイスキー、自分や友達用に最新のiPhone7、ブランド衣類などを次々と購入し、ビヨンセを目指してスター気取りの生活を送った。
また以前はコーンロウと呼ばれる編み上げのヘアスタイルだったマニは、急に3000ランド(約2万5000円)もするソバージュ系のウィッグを着用するようになり、友人の誕生日のためにサプライズパーティを開いたり、7月にはイベント参加のためにわざわざ飛行機でダーバンまで飛んでいた。
しかし急に羽振りが良くなったマニを、南アフリカ学生団体組織(South African Students Congress、SASCO)の学生らが不審に思い始める。マニの詐欺行為が決定的となったのは、ある学生がマニと行ったスーパーのレシートに印字された口座残高を目にした時だった。そこに記された“1360万ランド”を上回る莫大な金額に驚いたこの学生は、すぐNSFASに問い合わせた。マニの口座は8月13日に凍結されたが、それまでの73日間でなんと81万8000ランド(約700万円)を使い込んでいた。