このほど中国四川省のある地域で、離婚を望む夫婦に対しある試験を受けることが義務付けられた。中国メディア『人民日報』が報じ、『NextShark』『Oddity Central』でも伝えられるところとなった。
四川省の宜賓郡で、このほど離婚申請をする夫婦には試験を受けてもらい、そのスコアによって離婚が認められるというシステムが導入された。発案者となったのは地元裁判所のワン・シユ(Wang Shiyu)判事で、新システムについてこのように語っている。
「郡の人口は100万人以上にのぼり、毎年何百件という申請が裁判所に寄せられます。そのうちの半分は離婚申請です。最近は離婚申請がさらに増加しており、私自身子供がいて家庭を持つ身なので、離婚を申請する夫婦には急いで結論を出さずに今一度考え直してほしいという気持ちがあります。この試験を行うことで、夫婦には自分たちの結婚生活は取り返しのつかないところまで来てしまっているのかどうかということを考えるチャンスを与えることになりますし、ともに過ごした良き日々を思い出させるきっかけにもなります。試験をすることで相手のことを本当に理解できていたのかを見つめ直し、様々なことを思い出し、結婚に対して合理的に考えられるようになります。」
筆記試験は空欄を埋めるもの、短い質問、長文問題の3つのパートに分かれている。「夫(妻)の好きな料理は?」「夫(妻)の両親の誕生日は?」「2人の結婚記念日は?」といった基本情報を尋ねる質問から、「あなたはどのように責任を持って家庭を守って来たか」「結婚中にした良いこと、悪いこと」「この結婚や家庭はあなたにとってどんな意味があるのか」などといった詳細へと質問が展開する。
この試験を夫婦は別々に受け、離婚が認められるためには互いのスコアが60%を下回らなければならない。ワン判事曰く「60%以上のスコアだと、まだ結婚生活はやり直しがききます。ですがそれ以下だと終焉のリスクが高いでしょう」とのことだ。しかしこれには専門家らから「科学的根拠に基づいていない」と疑問の声があがっている。全国弁護士委員会のチャン・チェンフェン(Zhang Chengfeng)副所長は、「離婚を決意するのは、夫婦間の愛情がなくなったからということが根本の理由なはず」と主張する。
9月14日、あるカップルが試験を受けたところ、妻は86%、夫は80%のスコアを得たため、離婚申請は拒否されたそうだ。ワン判事は「この夫婦の場合、夫がギャンブルに夢中になっており妻や子供を顧みないということが離婚申請の理由でした。夫には家庭への責任が欠如しています」と述べているにもかかわらず、スコアが60%以上であったために離婚を認めなかった。